スペイン出張報告 ~スペイン最大級の試飲会 Fenavin で、看板となるリオハワインを探す!(営業 戸谷良子)

スペイン出張報告 ~スペイン最大級の試飲会 Fenavin で、看板となるリオハワインを探す!(営業 戸谷良子)
グルナッシュ

皆さま、こんにちは。今回のニュースレターでは、2年に一度スペイン・シウダッドレアルで開催されるFenavin(フェナビン)の訪問記をお送りします。 Fenavinはスペイン最大級の展示会の一つです。このFenavinと、バルセロナで隔年開催される展示会Alimentaria(アリメンタリア)が有名ですが、Fenavinは今やAlimentariaを凌駕し、今年は海外65カ国から2,000人以上のバイヤーが参加、出展ワイナリーもスペイン全土から1,300社を超える参加があったとの報告がありました!Alimentariaはドイツで開催される更に大きな展示会Prowein(プロヴァイン)と日程が必ず重なってしまうこと、ブース出展料が非常に高いこと、ワインだけでなく食料品全体の展示会でもあることなどから、現在はスペインワインを売る・買うならFenavinに参加しようとする出展者、訪問者が多い現状があります。


今回Fenavinの訪問の目的はただひとつ。フィラディスの看板スペインワインとなるようなD.O.C.aリオハのワインを探すことです。弊社では既に1アイテム、リーズナブルなリオハ(Domeco de Jarauta ドメコ・デ・ハラウタ、上代2,000円)を取り扱っておりますが、今回は“価格”という観点を外して納得のいく味わいのワインを探すことに注力しました。

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リオハのリージョンの違い

ご存知の方も多いとは思いますが、少しだけ復習です。『D.O.C.a』とは、スペインのD.O.(原産地呼称制度)で認定された産地の中から、厳しい基準で昇格が認められた高品質ワインのことです。1991年に初めて認められたのがリオハで、2009年にプリオラトが認められましたが、スペインでたった2つしかないD.O.を超えるカテゴリーです。

D.O.リオハの中には3つのサブリージョン、①リオハ・アルタ②リオハ・アラベサ③リオハ・バハがあります。その違いは下の表をご覧ください。

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もちろんサブリージョンは行政区画として決められているものなので、近い場所でも異なるリージョンに分けられることもありますし、リージョン内でも標高差がある場所もありますので、テイストにも例外はあります。例えば、エリアはリオハ・バハでも標高の高い畑のワインはやや涼やかなテイストになります。また、エブロ川の上部エリアがリオハ・アラベサなのですが、県境の関係でその中に一部リオハ・アルタとして認められた場所があったりもします。

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若干のブレはあるにせよ、試飲会でテイスティングしているうちに、「これアルタっぽいね♪」「こちらはアラベサだな!」なんて分かってしまうくらい、リージョンごとテイストには如実な違いがありました。

そして、今回弊社の看板スペインワインを探すにあたっては、Fenavinに出展しているリオハの生産者400軒からフィラディスの求めるスタイル=コクがあり且つエレガントスタイルの多いリオハ・アルタを中心にテイスティングしました。

私が感じたリオハの変化

前回リオハを徹底的に試飲したのは4年前のFenavinでした。その時と比べると、まず出展者がかなり増えました。そしてテイストがクラシックスタイルからだいぶモダン寄りの造りの生産者が増えていると感じました。また、各国市場の異なる嗜好に認められるために、1つの生産者が同じ熟成レベルでクラシックスタイルとモダンスタイルを造り分けたり、テンプラリーニョ100%のキュヴェとグラシアーノ・マスエロなどを混ぜて造るブレンドキュヴェを持っていたりなど、2つの異なるスタイルを造り分ける生産者も目立ちました。

更に少数派として、リオハ=テンプラニーリョという固定概念を見事に打ち砕き、ガルナッチャ100%でワインを造っている生産者も数件ありました。中にはワイン・アドヴォケイトでかなりの高得点を獲得している生産者も!その生産者に話を聞いて驚いたことがありました。

昔のリオハでは、テンプラニーリョよりもガルナッチャの方が土着として多く生産されていたとのことなんです!!つまり、リオハ=テンプラニーリョという固定観念を打ち破ったというのは誤りで、昔のスタイルに戻って、まさにリバイバルとしてガルナッチャの生産に力を入れていたのでした。

リオハ土着のガルナッチャは粒が大変小さく、とても凝縮するため、フランスのグルナッシュとは比べ物にならないほどの低収量になるそうです。下の写真で比較すると(成長の段階は異なりますが・・・)、フランスのグルナッシュはたわわに実り粒も大きいですが、リオハ土着のガルナッチャは実が非常に少ないことが分かります。

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味わいもフランスのグルナッシュはジューシーで甘みが強いですが、リオハでは凝縮感があってパワフルなスタイルになります。まだ少数派ではありますが、今後はそんなリバイバル風潮が高まり、再来年以降のFenavinではガルナッチャに焦点を当てる生産者がもっと増えるような予感がしました。

また、オーク使いにも以前と比べて若干変化があるように感じました。昔はリオハと言えばアメリカンオークで熟成、甘やかな香りに包まれやや柔らかい熟成のニュアンスのあるタイプというのが主流だったように思います。しかし現在はフレンチオークの比率が増えており、 力強さと精緻さを併せ持つ以前よりもパワフルなスタイルのものが多くなってきていると感じました。昔のリオハのイメージから一皮むけて、市場が今求めているようなモダンなスタイルになっていたことをお伝えしておきます。

私たちが候補に挙げているものは、たくさん試飲した中でもリオハ・アルタの分かりやすい強さとコクのあるテンプラニーリョ主体のワインです!来年には皆さまに披露出来るでしょうか?お楽しみに!!

Herencia Altes に行ってきました

バルセロナから車で3時間。やってきましたD.O.テッラ・アルタ。展示会があったシウダッドレアル(マドリードから電車で1.5時間)は気温40度を超えていて信じられないほど暑かったのですが、やはり東側に来るとやや涼しくなってほっとしました。

D.O.テッラ・アルタのHerencia Altesは、Bodegas Abanico当主ラファエル・デ・ハーンの妻ヌリアが育った場所であり、彼女が両親からもらった畑を主体として生まれました。エチケットに畑で遊ぶ子供の姿がありますが、まさに遊び場は畑だったのだろうなというほど見渡す限りブドウ畑が続いていました。

D.O.テッラ・アルタは風力発電でも有名なエリアで、至る所に巨大な風車が風を携えてクルリクルリとゆっくり回っております。畑を見に行った時には、あまりの強風に隣で説明しているラファエルの声も聞こえないほど!非常に風通しの良い場所であると身を持って体験しました。風通しの良さとこの地域随一の標高の高さによってHerencia Altes特有の透き通るような味わいが生まれるのだと実感しました。

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Herencia Altesで造っているのは、ガルナッチャ・ネグラとガルナッチャ・ブランカです。2014年ヴィンテージからフランス人のコンサルタントが入り、醸造方法が少し変わりました。ガルナッチャ・ブランカは果皮が厚くポリフェノール量が多いため、破砕せずプレス機に入れてすぐに果汁を搾ることによりポリフェノール分を減らすそうです。こうすることでワインの酸化を防ぐポリフェノールを減らし、あえて果汁を先に酸化させることによって後に瓶内での酸化を防ぐことが出来、熟成にも耐えうる白ワインになるとのことでした。

秋頃にお目見えする2014ガルナッチャ・ブランカは、ラファエル曰くこれまでで最高の出来栄えとのこと。2014ガルナッチャ・ネグラも酸が柔らかくボリューム感が何倍にもアップしております。新入荷を楽しみにしていてくださいね。

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熟成ワインの魅力(後編)

熟成ワインの魅力(後編)

前編では、ワインの熟成が単なる時間の経過ではなく、構造的・化学的な変容プロセスであることを解説しました。そこには、果実味やタンニン、酸などの要素が複雑に絡み合い、時間とともに香りや味わいの深みが増していく神秘がありました。 もに香りや味わいの深みが増していく神秘がありました。 後編では、まずはワインの色調変化から解説し、長期熟成に適した品種や産地の特性を整理します。あわせて、品質を左右する熟成環境──保管方法や温度・湿度管理の要点についても、具体的に見ていきます。 4. 色の変化:時が刻むワインの色調の移ろい ワインの外観、特にその色調は、熟成度合いや健康状態を判断するための重要な視覚的手がかりとなります。熟成のプロセスは、ワインに含まれる色素成分(赤ワインではアントシアニン、白ワインではフラボノイドなど)が、酸化、重合、分解といった化学変化を経ることで、色調に顕著な変化を引き起こします。 赤ワインの色の変化: ・若年期(Young): 若い赤ワインは、紫や濃いルビーの色調を呈することが多く、鮮やかで密度の高い印象を与えます。特に若いカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーな

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熟成ワインの魅力(前編)

熟成ワインの魅力(前編)

「熟成」。ワインの世界において、この言葉は単なる時間経過以上の、複雑で深遠な意味合いを持ちます。若々しいワインが瓶の中で静かに変容を遂げ、新たな香りと味わいを獲得していくプロセスは、多くのワイン愛好家を魅了し、探求心を刺激してやみません。しかし、熟成の本質とは何か?どのような要素がワインに長期の熟成能力を与え、その過程でどのような変化が生じるのか?そして、そのポテンシャルを最大限に引き出すための理想的な環境とは? 今号と次号のコラムでは、ワインの熟成という多岐にわたるテーマを、6つの主要な側面から深く掘り下げていきます。熟成の基本的なメカニズムから、熟成ポテンシャルを持つワインの特徴、香りや色調の変化、品種やテロワールの影響、そして熟成環境を左右する保管方法まで、ワインが時を経て見せる神秘的な変容の核心に迫りながら、熟成の奥深い世界を探求していきましょう。 1. 熟成とは何か?:ワインが遂げる変容のプロセス ワインにおける「熟成」は、単なる「古くなること」とは一線を画します。それは、瓶という閉鎖された環境の中で、ワインに含まれる無数の化合物が、酸素との微細な相互作用や、互いの

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太陽光の重要性を探るー“あるかないか”ではなく“どう与えるか” (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

太陽光の重要性を探るー“あるかないか”ではなく“どう与えるか” (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

「ワインは太陽の光に満ちた水である。―― Le vin est de l’eau emplie de soleil.」 これは、ワイン造りにおける太陽光の重要性を表したフランスのことわざです。 太陽の光がなければブドウ樹は成長せず、果実も実らず、そして熟すこともありません。光は光合成の必須要素であり、ポリフェノールの蓄積を促し、香り成分の形成にも深く関わっています。さらに、太陽がしっかりと降り注ぐ環境では湿度が低く保たれるため、カビによる病害の発生が抑えられ、健全な果実の収穫にもつながります。 しかし、太陽光の恩恵がブドウの品質にとって“絶対条件”だった時代と比べ、現代の多くの産地では状況が変化しています。今では、過剰な日射はむしろ品質を損ねる要因となり、世界各地で見られる「日焼け果」や「萎れ果」はその象徴的な例です。 本稿では、11月に筆者が訪れたチリのワイン産地でのインタビューを交えながら、太陽光がもはや単なる“恵み”ではなく、ブドウの品質を左右する「最適化すべき必須条件」となっている理由を探っていきます。 葉への作用―光合成 光・二酸化炭素・水を必要とする光合成におい

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