産地訪問

ワイン産地としてのイギリス 最新事情 (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

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ワイン産地としてのイギリス 最新事情 (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

初めまして。この度「Firadis WINE COLUMプロ」にてワインコラムを寄稿させていただく事になりました織田楽です。現在イギリス、ロンドン郊外の三ツ星レストラン、ザ・ファット・ダック(The Fat Duck)にてソムリエをしております。 2010年に渡英するまで東京都内のレストランに勤務し、ロンドンに移り住んでからもソムリエとしてイギリスのワイン業界に携わっております。また2016年にWSET Diplomaを取得し、その後2019年よりマスターオブワイン・プログラム(Master of Wine Programme)に参加を致しました。 世界中のワインが集まり、最新情報の発信地でもあることからワイン業界の首都と呼ばれるロンドン。ここでの経験から得られた視点や観点をこのコラムを通してお伝えしていきます。これらの情報が少しでも皆さまの新しい発見のお手伝いになれれば嬉しいです。 初回はここイギリスをテーマに二部に分けてお届けします。前編の今回はワイン産地としてのイギリス、イギリスワインについて。次回後編では、イギリスのワイン事情、レストラン事情についてご紹介する予定です。 イ

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『シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト』 ークラマン村 自社畑の近況ー

コラム

『シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト』 ークラマン村 自社畑の近況ー

私どもフィラディスは、2021年5月にシャンパーニュのグランクリュ、クラマン村に合計0.25ヘクタールの畑を購入し、同年夏より 『シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト』 を始動させました。クラマン村という素晴らしい産地で、日本人による日本人の味覚に合った理想のシャンパンを生み出そうという挑戦的で心踊るプロジェクトです。 当初は畑づくりに最低でも3年かかると踏んでいましたが、比較的畑とブドウの木の状態が良かったため、ブドウの収穫もしながら畑の改善に努めています。2021年と2022年のヴィンテージや現状の畑の状況について、ご報告させていただきます。 2021年ヴィンテージ 2021年はシャンパーニュ地方のほとんどの地域にとって非常に困難な年でした。 春先の霜、開花時期の大雨、ミルランダージュ(結実不良)などが至るところで発生した上に、ベト病や雹の被害も甚大で、多くのワイン生産者にとって絶望的な年となりました。 フィラディスの畑は、グランクリュの中でも最も石灰質の多いクラマン村に位置しており、2021年はそのポテンシャルと優位性が明らかになりました。チョークが水分を吸収

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オーストリア出張報告(営業 古川 康子)

産地訪問

オーストリア出張報告(営業 古川 康子)

フィラディスの正規代理店ワインに、2018年より新たにオーストリアの3生産者が加わることとなりました。冷涼で大陸性気候のオーストリアは、ブルゴーニュと緯度は同じですが、より降水量も少なく寒暖差も激しい為、クリアで凝縮度の高いワインを生み出します。合わせて、土壌は極めて多彩でテロワールの表現に富んでいます。 フィラディスでは、土着品種であるグリューナー・フェルトリーナー(以下、GV)のユニークなキャラクターにポテンシャルを強く感じ、5年前からリサーチを重ねてきました。今回は、最終候補決定の為に訪れたオーストリアの出張報告も織り交ぜ、GVの魅力についてお話しします。 【何故グリューナー・フェルトリーナー】 口の中でふわっと広がる柔らかなミネラル、しっかりと旨みが出て、染みいる美味しさ。こんなワインがいつも飲み手に驚きと発見を与えます。一見主張がないようで、料理と合わせた途端、想像を超える力を発揮して感動を与える、まさにワインにしか成しえないマリアージュを教えてくれるのです。そんなとき、人はえもいわれぬ幸福感に包まれます。 冷涼で高貴なイメージを持ったオーストリアワインが素晴らしいから

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DRCより高値で販売されていた辛口ドイツワイン??(営業 寺坂 和也)

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DRCより高値で販売されていた辛口ドイツワイン??(営業 寺坂 和也)

今年から正規代理店として扱うワイナリーを選定するため、フィラディスでは2016年3月・8月・11月と3度にわたってドイツに赴き、候補を絞ってまいりました。 辛口→甘口→辛口?ドイツワインの味わいの変遷 まず、ドイツワインと聞いて皆様が思い浮かべるイメージはどのようなものでしょうか?馴染みのない言葉の羅列が苦痛でソムリエ試験では諦めてしまった・・・なんて方も多いのではないでしょうか。かく言う私も試験では苦手意識が強く、“捨てて”しまいました(笑) きっと最も多いのが「甘口の白ワイン」というイメージではないでしょうか。しかし現在のドイツは、意欲的な生産者の出現による栽培技術の向上、更に地球温暖化の影響もあり、以前より容易にブドウを完熟させることが可能になりました。そのため、糖度の高いブドウからワインを造ることができ、ブルゴーニュのような概念でテロワールにもこだわった辛口の白ワインを造る優良生産者が多くなってきています。 ドイツ屈指の銘醸地モーゼルでは、とある生産者から興味深い話を聞きました。「ドイツ=甘口の白ワイン」という図式は第二次世界大戦以後に飲み手の好みが変化するなかで生ま

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ブルゴーニュ出張報告 ~収穫期のオーセロワ地区、コート・シャロネーズ地区を巡る(営業 山口 要)

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ブルゴーニュ出張報告 ~収穫期のオーセロワ地区、コート・シャロネーズ地区を巡る(営業 山口 要)

今秋ブルゴーニュを訪問しました。ブルゴーニュと言っても、今回の行き先はシャブリ南西のオーセロワ地区とコート・シャロネーズ地区。近年コート・ドールのワインの値上がりが著しいため、ブルゴーニュ好きが満足できる品質で価格が控えめなピノ・ノワールとシャルドネを探すことが出張の目的でした。 先に結論を申し上げてしまえば、今回は残念ながら目的に見合うワインは見つからなかったのですが、あまり日本では知られていないオーセロワのテロワールや産出されるワインの特徴など、現地ならではの情報を知ることが出来ました。 Auxerrois オーセロワ地区 オーセロワは、シャブリをぐるりと取り囲むように位置するグラン・オーセロワ地区の中の1つのアペラシオンで、オーセールの南部と南東部のおよそ10村を指します。 シャブリと同じく石灰質(泥灰=キンメリジャン・マール)に富んでおり、シャルドネとアリゴテ、ピノ・ノワールが有名ですが、他にガメイやソーヴィニヨン・ブランも造られています。また、オーセロワ特有の希少なブドウ品種として赤ワイン品種のセザールと白ワイン品種のサシーやムロンなどもあります。 このオーセロワで

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Riojaの品種の多様性と、『Rioja=テンプラニーリョ』となった背景を追う(営業 寺坂 和也)

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Riojaの品種の多様性と、『Rioja=テンプラニーリョ』となった背景を追う(営業 寺坂 和也)

皆さま、こんにちは。 今回のニュースレターでは、スペイン最大級の試飲会Fenavinで生産者から聞いた非常に興味深かったスペイン最上のワイン産地Riojaの歴史に伴う、ブドウ品種の歴史についてお話ししたいと思います。 『テンプラニーリョ・ブランコ』誕生の秘密 約5000種類もあるとされるワイン用のブドウ品種ですが、その成り立ち・誕生は様々です。元々土着として生育していたもの、交配などを行って品種改良によって出来たもの、また突然変異によって誕生したものもあります。突然変異と言えば、ピノ・ノワールから派生したピノ・ブラン、ピノ・グリ等が有名ですが、リオハの主要品種のテンプラニーリョが突然変異して誕生したのが『テンプラニーリョ・ブランコ』です。 私はこの品種の存在自体知らなかったのですが、今回その突然変異が発生した時の写真を見ることができました! 1988年にムリーリョ・デ・リオ・レサという地域の古樹の畑で、テンプラニーリョの古樹の内、1本の枝にだけ2房の白ブドウがなっているのが発見されました。実際にきれいに黒ブドウと白ブドウが枝分かれしている光景は、「合成!?」と思うほどです。

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アルザス出張報告 ~アルザスの格付けを巡る生産者や村々の動き(営業 池田 賢二)

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アルザス出張報告 ~アルザスの格付けを巡る生産者や村々の動き(営業 池田 賢二)

フィラディスでは、コストパフォーマンスに優れ、テロワールの個性を楽しむことができ、何より素直に美味しいアルザスワインにこれまで力を入れてきました。 今回の出張では、既存ワイナリーの最新ヴィンテージの確認に加え、皆さまにご紹介するに足る高品質のピノ・ノワールを探してきたのですが、生産者訪問を続ける中で、とても興味深い現在のアルザスの動向を聞くことができました。 “アルザス=白”ではない?!ピノ・ノワールのグランクリュ格付けの動き アルザスでは現在51のグランクリュが制定されていますが、全て白ワインであり、リースリング、ゲビュルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカの4種類(一部例外は除く)のみが認められています。白一辺倒の格付けですし、“アルザス=白”だという認識を持っていらっしゃる方も多いと思いますが、今ピノ・ノワールもグランクリュに格付けしようとする動きがあるのだそうです。 この動きの背景として、温暖化の影響で以前より暖かくなったためピノ・ノワールが完熟するようになり、よりパワフルで上質なブドウが採れるようになったことが要因の一つだと考えられます。実際に、素直に美味しいと思えるワ

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スペイン出張報告 ~スペイン最大級の試飲会 Fenavin で、看板となるリオハワインを探す!(営業 戸谷良子)

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スペイン出張報告 ~スペイン最大級の試飲会 Fenavin で、看板となるリオハワインを探す!(営業 戸谷良子)

皆さま、こんにちは。今回のニュースレターでは、2年に一度スペイン・シウダッドレアルで開催されるFenavin(フェナビン)の訪問記をお送りします。 Fenavinはスペイン最大級の展示会の一つです。このFenavinと、バルセロナで隔年開催される展示会Alimentaria(アリメンタリア)が有名ですが、Fenavinは今やAlimentariaを凌駕し、今年は海外65カ国から2,000人以上のバイヤーが参加、出展ワイナリーもスペイン全土から1,300社を超える参加があったとの報告がありました!Alimentariaはドイツで開催される更に大きな展示会Prowein(プロヴァイン)と日程が必ず重なってしまうこと、ブース出展料が非常に高いこと、ワインだけでなく食料品全体の展示会でもあることなどから、現在はスペインワインを売る・買うならFenavinに参加しようとする出展者、訪問者が多い現状があります。 今回Fenavinの訪問の目的はただひとつ。フィラディスの看板スペインワインとなるようなD.O.C.aリオハのワインを探すことです。弊社では既に1アイテム、リーズナブルなリオハ(Dome

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イタリア出張報告 ~モンタルチーノで出会った特殊な仕立て「フォーク」と「盆栽」とは?!(営業 青山マルコ)

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イタリア出張報告 ~モンタルチーノで出会った特殊な仕立て「フォーク」と「盆栽」とは?!(営業 青山マルコ)

Salve a tutti! 営業の青山マルコです。 このレターでも度々お伝えしていることではありますが、偉大な生産者たちは必ず何度も強調して「ワイン造りで一番重要なのは畑仕事である」と口にします。私はその言葉を聞くたびにいかに畑仕事が大事なのかを改めて実感します。MianiのEnzo Pontoni、ClericoのDomenico Clerico、QuintodecimoのLuigi Moio・・・私がこの言葉を聞いた生産者は皆毎日畑に出て仕事をしていました。そして、今年3月下旬のイタリア出張では、この言葉の重みを再度感じることになりました。 フォルチェッラ(フォーク状のもの) 今回の出張の大きな目的は2つ。イタリア最大のワイン見本市Vinitalyヴィニタリーへの参加、そしてBrunello di Montalcinoの生産者訪問です。 モンタルチーノ村で、昨年から取り扱いを開始したMastrojanniマストロヤンニを訪問した際、今まで見たこともないブドウの仕立て方を目の当たりにしました。それはMastrojanniのディレクターAndrea Machettiアンドレア・

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モンタルチーノ ヴィンテージ情報(営業 青山マルコ)

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モンタルチーノ ヴィンテージ情報(営業 青山マルコ)

Mastrojanni、IL Valentiano、Logonovoと3生産者から聞いた情報を元に、ヴィンテージ情報をお届けします。畑の位置やそれぞれの生産者によって状況は異なりますので、あくまで弊社取り扱いの3生産者の状況としてご認識ください。 ※★の評価は、モンタルチーノ協会から発表されているものです。 2010 ★★★★★ 5ツ星 春から低温多雨で成育が遅れ、開花時点で収穫量の減少が見られた。また病気への心配も広がった。しかし、夏は晴天が続き、バランスよく成熟が進み、収穫は例年より1ないし2週間遅くなったが、すべての要素が稀なほど高いレベルで揃った偉大な年となった。 Mastrojanni:サンジョヴェーゼ10%減 2011 ★★★★ 4ツ星 南アフリカから吹くシロッコと呼ばれる季節風により、多くのサンジョヴェーゼが焼けてしまった。夏の間、昼は40℃夜も30℃を下回ることがないくらい暑く、ブドウの熟度が例年よりも早く上がりすぎてしまう事が懸念されたため、収穫時期は例年より早くなった。 Mastrojanni:サンジョヴェーゼ20%減 2012 ★★★★★ 5ツ星

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ロワール出張報告 ~ミュスカデの現状と、“21世紀のフィラキセラ”と呼ばれるエスカEsca(営業 古川 康子)

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ロワール出張報告 ~ミュスカデの現状と、“21世紀のフィラキセラ”と呼ばれるエスカEsca(営業 古川 康子)

2月の月初に、サロン・デ・ヴァン・ド・ロワールへの参加に合わせて、昨年より取扱いを始めました、ミュスカデのダヴィッド・エ・デュヴァレを訪問してきました。 ミュスカデの栽培面積は約6000haで、現在約700軒の栽培家がいるそうです。しかし、生産されるワインは、70%がネゴシアン、30%がドメーヌ詰め。まだまだ大量生産のネゴスワインが多いことがわかります。 ダヴィッド・エ・デュヴァレは、栽培家の4代目ステファン・ダヴィッド氏が栽培を、パリのレストランで働いていたセバスチャン・デュヴァレ氏が醸造を主に担当しています。 地道な取り組み ミュスカデは畑によって様々な土壌から成り、同じ生産者でも全くキャラクターの異なったワインが出来るという多様性がとても興味深く、畑を訪れることが楽しみでした。 この日は、ちょうどステファン氏が冬の剪定作業を行っておりました。ブドウの樹の枝を1本だけ残して後は全て切り取っていくという地道な作業なのですが、所有畑にあるブドウの樹は20万本。これをたった3人で2~3週間かけて行うそうです。1人約7万本です!この日の気温は氷点下、しかも強風で体感温度は更に低く、手

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シャンパーニュ・グランクリュの格付けが変わる?! -出張報告-(営業 池田 賢二)

産地訪問

シャンパーニュ・グランクリュの格付けが変わる?! -出張報告-(営業 池田 賢二)

こんにちは、営業の池田です。 現在フィラディスではグランクリュ・シャンパーニュにフォーカスした新しい生産者の発掘に 力を入れており、毎年複数回現地に赴き、数多くの生産者を訪問しています。今回は、昨年末の訪問で知ることのできたシャンパーニュの最新事情について幾つかお話したいと思います。 グランクリュの最新格付け シャンパーニュの格付け「エシェル・デ・クリュ」は、1919年に初めて導入され、当時は12村がグランクリュに制定されました。その後1985年に改定され、今の 17村となっています。「エシェル・デ・クリュ」の本来の機能はブドウを買い付ける際の価格決定システムでした。各村の格付けによってブドウの価格を一律で決定するこのシステムは、自由競争を阻害するとして1999年より禁止されましたが、現在でも品質の基準として機能しています。 私たちがグランクリュ・シャンパーニュに注目するのも、やはりその味わいに歴然とした優位性を感じるからです。現地ではグランクリュを所有するレコルタンを中心に訪問していますが、毎回注意して話を聞くのが「どのクリュが使われているか」という点です。グランクリュに本拠地

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