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熟成ワインの魅力(後編)

熟成ワインの魅力(後編)

前編では、ワインの熟成が単なる時間の経過ではなく、構造的・化学的な変容プロセスであることを解説しました。そこには、果実味やタンニン、酸などの要素が複雑に絡み合い、時間とともに香りや味わいの深みが増していく神秘がありました。 もに香りや味わいの深みが増していく神秘がありました。 後編では、まずはワインの色調変化から解説し、長期熟成に適した品種や産地の特性を整理します。あわせて、品質を左右する熟成環境──保管方法や温度・湿度管理の要点についても、具体的に見ていきます。 4. 色の変化:時が刻むワインの色調の移ろい ワインの外観、特にその色調は、熟成度合いや健康状態を判断するための重要な視覚的手がかりとなります。熟成のプロセスは、ワインに含まれる色素成分(赤ワインではアントシアニン、白ワインではフラボノイドなど)が、酸化、重合、分解といった化学変化を経ることで、色調に顕著な変化を引き起こします。 赤ワインの色の変化: ・若年期(Young): 若い赤ワインは、紫や濃いルビーの色調を呈することが多く、鮮やかで密度の高い印象を与えます。特に若いカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーな

By YURI ASAHARA
熟成ワインの魅力(前編)

熟成ワインの魅力(前編)

「熟成」。ワインの世界において、この言葉は単なる時間経過以上の、複雑で深遠な意味合いを持ちます。若々しいワインが瓶の中で静かに変容を遂げ、新たな香りと味わいを獲得していくプロセスは、多くのワイン愛好家を魅了し、探求心を刺激してやみません。しかし、熟成の本質とは何か?どのような要素がワインに長期の熟成能力を与え、その過程でどのような変化が生じるのか?そして、そのポテンシャルを最大限に引き出すための理想的な環境とは? 今号と次号のコラムでは、ワインの熟成という多岐にわたるテーマを、6つの主要な側面から深く掘り下げていきます。熟成の基本的なメカニズムから、熟成ポテンシャルを持つワインの特徴、香りや色調の変化、品種やテロワールの影響、そして熟成環境を左右する保管方法まで、ワインが時を経て見せる神秘的な変容の核心に迫りながら、熟成の奥深い世界を探求していきましょう。 1. 熟成とは何か?:ワインが遂げる変容のプロセス ワインにおける「熟成」は、単なる「古くなること」とは一線を画します。それは、瓶という閉鎖された環境の中で、ワインに含まれる無数の化合物が、酸素との微細な相互作用や、互いの

By a.watanabe
太陽光の重要性を探るー“あるかないか”ではなく“どう与えるか” (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

太陽光の重要性を探るー“あるかないか”ではなく“どう与えるか” (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

「ワインは太陽の光に満ちた水である。―― Le vin est de l’eau emplie de soleil.」 これは、ワイン造りにおける太陽光の重要性を表したフランスのことわざです。 太陽の光がなければブドウ樹は成長せず、果実も実らず、そして熟すこともありません。光は光合成の必須要素であり、ポリフェノールの蓄積を促し、香り成分の形成にも深く関わっています。さらに、太陽がしっかりと降り注ぐ環境では湿度が低く保たれるため、カビによる病害の発生が抑えられ、健全な果実の収穫にもつながります。 しかし、太陽光の恩恵がブドウの品質にとって“絶対条件”だった時代と比べ、現代の多くの産地では状況が変化しています。今では、過剰な日射はむしろ品質を損ねる要因となり、世界各地で見られる「日焼け果」や「萎れ果」はその象徴的な例です。 本稿では、11月に筆者が訪れたチリのワイン産地でのインタビューを交えながら、太陽光がもはや単なる“恵み”ではなく、ブドウの品質を左右する「最適化すべき必須条件」となっている理由を探っていきます。 葉への作用―光合成 光・二酸化炭素・水を必要とする光合成におい

By a.watanabe
【刺身マリアージュ第1弾】 海の王様「本マグロ」とワインが出会うとき(広報 浅原有里)

【刺身マリアージュ第1弾】 海の王様「本マグロ」とワインが出会うとき(広報 浅原有里)

今回私たちフィラディスがマリアージュ探究のテーマに据えたのは、日本の食の象徴ともいえる「本マグロ」です。 鮨店や割烹はもちろん、さまざまなジャンルのお店から食卓まで、その存在感を放つこの魚は、いまや和食文化を超え、世界の“旨味”を語る上で欠かせない食材となりました。 今回の実験では、大トロ・中トロ・赤身という3つの部位それぞれに、どんなワインが合うのか、またどのような相乗効果をもたらすのかを検証しました。 脂の甘みとボリューム感、酸のバランス、ミネラル感と鉄分の響き、余韻の方向性——。 ワインと本マグロ、それぞれの文化が交わる時に見出されるマリアージュとはどのようなものか。その答えを、本レポートでお伝えします。 マグロについて 本実験で使用した本マグロは、すべて国産の養殖個体で冷凍処理されたものを準備し、大トロ・中トロ・赤身それぞれの特性を活かして切り分け、あえてワサビは付けず、醤油のみで味わいました。 養殖由来とはいえ状態が非常によく、瑞々しさがあり、しっとりと滑らかな質感でした。大トロ・中トロ・赤身は、鉄分と脂質のボリュームが反比例する関係です。赤身は鉄分由来の旨味が前

By firadis
気候変動とワイン造り~ADVICLIMが示すブドウ栽培の未来②~  仕入れ担当 末冨春菜

気候変動とワイン造り~ADVICLIMが示すブドウ栽培の未来②~ 仕入れ担当 末冨春菜

地球上で生きている私たちにとって、切っても切れない地球温暖化の問題。 第一回目 は導入編として、ブドウ栽培における気候変動の概要をご紹介しました。 二回目となる今回は、主要な短期的アプローチについて、ADVICLIM※の提言と、実際の生産者の導入例をご紹介していきたいと思います。 ※ADVICLIM・・フランス国立農学研究所(INRA)やドイツのガイゼンハイム大学をはじめとした国際的パートナーによる気候変動へのブドウ栽培の適応方法を検討したプロジェクト まずは前回の振り返りとして、ADVICLIMがまとめた短期~長期的な対応策と、気候変動への効果の表を振り返りましょう。 短期的なアプローチ ①醸造技術 (Winemaking Techniques) & ②収穫管理 (Harvest management) ADVICLIMの提言書では、醸造技術と収穫管理において、以下の提言がなされています。 * 収穫時期の調整、収穫時期を早める メリット:ブドウの過熟を防ぎ、酸を保ち、アルコール度数の上昇を抑制する。 * 収穫されたブドウの温度管理 メリット:収穫後

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ワインは海で育つ?北海道の海中熟成ワインをテイスティング (広報 浅原 有里)

ワインは海で育つ?北海道の海中熟成ワインをテイスティング (広報 浅原 有里)

以前のワインコラムプロにて、北海道の7つの海域でワインやウイスキーなどを熟成させている株式会社 北海道海洋熟成の本間一慶さんのインタビューをお届けしました。 今回はその続編として、3年間海中にて熟成させたワインの味わいの違いを検証しました。通常のセラー熟成と比較して、海中環境ではワインにどのような差異をもたらすのか。さらに、海域の違いで味わいにはどんな違いが生まれるのか。今回のテイスティング結果から明らかにしていきます。 熟成環境 以下のそれぞれの環境で、同一ロットのワインを3年間熟成させました。 熟成期間は、2022年6月〜2025年6月です。 ①セラー熟成・フィラディスの長期熟成用セラー・温度15度、湿度75%前後 * https://www.westporttennisclub.com/contact * https://www.ausfitprojects.com.au/testimonials/ ②羅臼(らうす)・水深20〜30m・水温は7つの海域の中で最も低く、0℃〜高くても20℃前後。寒流しか流れ込まないため温度上昇は少ない。・世界遺産に認定された知

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ワイン表現を考える−「テクスチュア」(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

ワイン表現を考える−「テクスチュア」(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

ワインテイスティングの際に使われる様々な表現語彙は、そのワインをより端的かつ具体的に表現し、ワイン描写の大きな手助けとなってくれます。それら語彙には、濃い/淡い(色合い)、強い/弱い(風味など)、高い/低い(酸味、アルコール度など)といった直接的な表現語彙の他に、多くの比喩語彙があります。最も代表的で馴染みがあるのが、多種多様な香り(nose)表現の比喩です。果実、食品、草木などの自然、身の回りの匂いがあげられます。しかし、比喩語彙は香り表現のみならず、味わい(palate)表現でも用いられます。 今回はその味わい表現のなかのテクスチュア(texture)について考えます。テクスチュアは“質感”、“手触り”、“表面の質感”と直訳され、ワイン表現においてもその滑らかさと渋みに起因する質感を表す際に使われる用語です。では、そのテクスチュア(質感)とは具体的に何を表していて、どんな要素に起因しているのでしょうか。また、テクスチュア同様しばし表現語彙として使われるストラクチュアとはどんな違いがあるのでしょうか。実際にテクスチュア表現に使われる用語を元に考えていきましょう。 * http

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鮎に恋するワインを求めて(広報 浅原有里)

鮎に恋するワインを求めて(広報 浅原有里)

香ばしく焼き上げた鮎の塩焼き。 その繊細な旨みと、ほんのりとした苦み、清流を思わせる清らかな香りは、日本の夏を代表する風物詩のひとつです。 鮎は「香魚」とも呼ばれ、若鮎の時期にはスイカやきゅうりのような爽やかな香気を放ち、旬の最盛期には内臓にかすかな苦みを含む独特の味わいを持ちます。 淡白ながらも骨や皮にも旨味が詰まっており、塩だけで丁寧に焼き上げれば素材の風味がダイレクトに立ち上る、日本人を魅了してやまない食材です。 鮎とワインのマリアージュについては、過去にもさまざまな考察が出ていますが、私たちフィラディスでも完璧なペアリングを求めて実験をしてみました! どんな産地/品種のワインがマッチするのか。またワインのどの要素が、鮎の味わいとどう響き合うのかーー。そんな疑問を解き明かしてみたいと思います。 鮎について 今回の実験は2024年7月12日に実施しました。 使用したのは、岐阜県産の養殖鮎。一尾あたり約80〜100gと、若鮎の時期を過ぎて盛夏に向けて成長した、やや大ぶりな個体です。シンプルに塩だけで炭火で焼き上げました。 鮎の塩焼きは、淡白ながら脂の乗った白身の甘味と旨味、肝

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低アルコールワイン最前線: 世界の潮流と日本における未来を紐解く     (バイヤー 山田篤典)

低アルコールワイン最前線: 世界の潮流と日本における未来を紐解く (バイヤー 山田篤典)

健康志向の高まりやライフスタイルの多様化を背景に、ワインの新たな選択肢として世界的に注目度が高まっている低アルコールワイン。最新トレンド、製造技術、そして日本における今後の展望など、その魅力と可能性を考察します。 1.低アルコールワインとは何か? なぜ今注目されているのか? 低アルコールワインとは、一般的にアルコール度数が0.5%以上11%未満のワインを指しますが、国や地域によって定義は異なります。特に近年では、従来のワインよりも意図的にアルコール度数を低く仕上げたローアルコールワインやライトアルコールワインと呼ばれる低アルコールワインの市場が拡大しています。この背景には、いくつかの要因があります。 * 健康志向の高まり:世界的に健康に対する意識が高まり、過度なアルコール摂取を控える傾向が強まっています。特にミレニアル世代やZ世代を中心に、より健康的なライフスタイルを求める動きが活発化しており、アルコール度数の低い飲料への関心が高まっています。 * ライフスタイルの多様化:従来の酔うためのお酒という価値観から、食事や会話を楽しむための飲み物、リフレッシュのための一杯といった

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辛味 × 旨味 × ワイン:麻婆豆腐とのマリアージュ考察 (広報 浅原 有里)

辛味 × 旨味 × ワイン:麻婆豆腐とのマリアージュ考察 (広報 浅原 有里)

「麻婆豆腐とワイン」一見すると異色の組み合わせに思えるかもしれません。しかし、さまざまな食材や料理とのマリアージュ実験を重ねてきたフィラディスだからこそ、麻婆豆腐にもベストマッチする1本を見つけたい!そんな想いで今回のマリアージュ実験は幕を開けました。 麻婆豆腐は四川料理を代表する一皿であり、花椒による痺れる辛さ、唐辛子の鋭い刺激、豆板醤や豆鼓が生み出す奥深い旨味が絶妙に調和しています。とろりとした豆腐と挽き肉の食感、立ち上る香り、口いっぱいに広がる刺激とコク ―― その魅力は一言では語り尽くせません!! 本レポートでは、①日本人に馴染み深い丸美屋の麻婆豆腐の素(中辛)をレシピに忠実に作ったものと、②重慶飯店の本格的な麻婆豆腐の2種類を、48種類ものバリエーション豊かなワインと合わせ検証してみました。 麻婆豆腐という情熱的な料理に、どんなワインが最も美しく寄り添うのか?ぜひ最後までお楽しみください。 麻婆豆腐について ①丸美屋の麻婆豆腐の素(中辛)は甘味・旨味のバランスが良く、しょうがとにんにくは効いていますが、出汁感が強い穏やかな味わいです。基本的にはさらっとしたテクス

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今一度プレモックスを掘り下げる(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

今一度プレモックスを掘り下げる(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

2000年台前半にワイン業界に衝撃を与えたプレマチュア・オキシデーション(Premature Oxidation、熟成前酸化、以下プレモックス(Premox))。プレモックスが業界の話題になったきっかけは、1996年ヴィンテージのブルゴーニュ白ワインがたった5-6年後の2000年代前半に驚くほどの酸化劣化をしていた事でした。しかもそれは著名無名、特級村名を問わずブルゴーニュ全体から散見されました。2010年代以降のヴィンテージでは深刻な欠陥はブルゴーニュからは見られなくなりましたが、世界中のとりわけカリフォルニアや西ケープのような温暖な産地からの事例報告は今も挙がっております。一時は単純にコルクの品質が原因だと言われていた時期もありました。しかし、ブドウの段階から瓶詰めまでの酸化作用、酸素の蓄積、亜硫酸をはじめとする抗酸化成分の不足が数年後にプレモックスとして現れることが分かっています。発端から30年近く経った今でも完全なる解決がされていない事からも、幾つもの要素が複合的に絡んでいる事が示唆されます。 プレモックス、その判断の難しさ プレモックスは熟成前酸化と記される通り、熟成経

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気候変動とワイン造り~ADVICLIMが示すブドウ栽培の未来①~(仕入れ担当 末冨春菜)

コラム

気候変動とワイン造り~ADVICLIMが示すブドウ栽培の未来①~(仕入れ担当 末冨春菜)

地球上で生きている私たちにとって切っても切れない地球温暖化の問題。 まだ記憶に新しい2023年、この年は異常に暑く、世界各地で40℃越えを記録し、山火事などの自然災害も相次ぎました。世界気象機関(WMO)は、2023年の世界平均気温は1850〜1900年と比較して、約1.4℃上昇し観測史上最も高かったと発表しています。 同年7月、国連の事務局長による「地球温暖化(Global Warming)から地球沸騰化(Global Boiling)の時代に入った」という発言は、非常にインパクトがあり、印象に残っている方も多いのではないでしょうか。我々が口にしているワイン、そしてブドウもその影響を大きく受けています。 皆さまは、ヨーロッパの複数の機関や研究者が連携し、2014年から2020年に活動していた「ADVICLIM」というプロジェクトをご存知でしょうか? AD aptation of VI ticulture to CLIM ate change (=気候変動へのブドウ栽培の適応)の頭文字を取っており、気候変動がワイン産業に与える影響を研究し、適応策を提供することを目的とし

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フィラディス ワインリスト研究 第6弾 後編 ~ élevé 松田慧ソムリエ & 株式会社SEA 神沼拓海ソムリエ ~

サービス

フィラディス ワインリスト研究 第6弾 後編 ~ élevé 松田慧ソムリエ & 株式会社SEA 神沼拓海ソムリエ ~

今回のワインコラムプロは、活躍中のソムリエお二人に、同一の料理テーマでワインリストを作成いただき、構成内容や選んだ基準、考え方などをじっくり覗いてみようという人気企画「フィラディスワインリスト研究」の第6弾。今回は後編のペアリング実践編をお届けします。 前編ではお二人のソムリエが選んだワインをご紹介しましたが、今号では実際に食事とワインを合わせた検証会の様子をレポートします。Trattoria Tabule(トラットリア タブレ)さんの中東料理とイタリアンのエッセンスが組み合わされたお料理にはどんなワインが合うのでしょうか。一つ一つのお料理とのペアリングから、総括的なワインの合わせ方を考えていきます。 ご協力:Tra ttoria Tabule様 élevé 松田慧ソムリエ 1988 年生まれ。東京都出身。専門学校卒業後、西麻布のフレンチ「Le Bourguignon」へ入社、11年間勤める。ブルゴーニュワインの美味しさ、奥深さに魅了され、2022年7月に麻布十番にてブルゴーニュ専門のワインバー・レストラン「élevé」を独立開業。 élevé https://eleve-a

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フィラディス ワインリスト研究 第6弾 前編 ~ élevé 松田慧ソムリエ & 株式会社SEA 神沼拓海ソムリエ ~

サービス

フィラディス ワインリスト研究 第6弾 前編 ~ élevé 松田慧ソムリエ & 株式会社SEA 神沼拓海ソムリエ ~

今回のワインコラムプロは、活躍中のソムリエお二人に、同一の料理テーマでワインリストを作成いただき、構成内容や選んだ基準、考え方などをじっくり覗いてみようという人気企画「フィラディスワインリスト研究」の第6弾をお送りします。 ワインリストにはそれぞれのお店の個性が反映されるのはもちろんですが、何よりもワインセレクトを任されるソムリエの感性や哲学がそのまま投影されます。登場いただくお二人のソムリエがどのようにワインリストを作るのか、ぜひご注目ください! ※前編ではソムリエが選んだ仮想ワインリストをご紹介し、後編にて実際に食事とワインを合わせた結果をお届けします。 * https://www.westporttennisclub.com/contact * https://www.ausfitprojects.com.au/testimonials/ 基本条件 お題:中東イタリアンのワインリスト Trattoria Tabule(トラットリア タブレ)様にて実施 https://www.instagram.com/tabule_trattoria/ 中東料理が得意な米

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マスター・オブ・ワイン - 世界最高峰ワイン資格の難解さに触れる (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

マスター・オブ・ワイン - 世界最高峰ワイン資格の難解さに触れる (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

2024年11月5日ロンドンのヴィントナーズホールにてマスター・オブ・ワイン(MW)合格者アワードセレモニーが行われました。今年は新たに10名のMWがその峻険な頂の登攀を家族友人等が見守るなか盛大に讃えられました。 MWは世界最高峰ワイン資格と評され、その合格者数は第1回試験の1953年より現在までの70年間で未だ500名弱に留まります。現役では421名(2024年11月時点)が世界30カ国のワイン業界で活動しています。これまでの合格者には名だたるワインプロフェッショナルが名を連ね、ジャンシス・ロビンソン女史、ジャスパー・モリス氏、故ジェラール・バッセ氏などが挙げられます。 このワイン資格に日本在住者では東京拠点(当時)のネッド・グッドウィン氏が2010年に初めて合格しました。日本人ではこれまで2名がその峻岳を上り詰め、前回合格者は2015年の大橋健一氏です。 インターネットの活性化による情報へのアクセスの手軽さ、世界各地への渡航利便性の向上、物流の発展による各国ワインの入手し易さなど、試験対策環境は向上しています。しかし、同時に出題範囲も拡大し続け、また出題分野も多岐にわたるため

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『Charles Joguet カップ』結果発表!!優勝&フィラディス特別賞に選ばれた、シノンにマリアージュするレシピとは?

コラム

『Charles Joguet カップ』結果発表!!優勝&フィラディス特別賞に選ばれた、シノンにマリアージュするレシピとは?

今回のコラムプロでは、今夏に実施したレシピコンテスト『Charles Joguet カップ』の結果発表をお届けします! 本コンテストは、世界屈指のカベルネ・フランを生み出すワイン産地、ロワール地方シノンで神様と称されるシャルル・ジョゲの「シノン・シレーヌ」にマリアージュするお料理をテーマに開催し、多くの創造力豊かなレシピが集まりました。厳正なる審査を経て、見事なペアリングを披露した優秀作品が決定いたしましたので、講評とともにご紹介します。 👑 優勝 👑 大和芋とベーコンのオーブン焼き、トリュフと山椒の香り製作者:ヒメさん 様 ■マリアージュのポイント 素朴になりがちな大和芋をオーブンで焼き目を付けて明るいテイストにする事で繊細なシノンに合わせてみました。また、隠し味の山椒とトリュフソルトがより複雑なシノンに寄り添います。 * https://www.westporttennisclub.com/contact * https://www.ausfitprojects.com.au/testimonials/ ■材料・大和芋 60g ・ベーコンみじん切り 30g

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ブドウ樹の病害と新しい対策について<後編>-Pest / 有害生物- (仕入れ担当 末冨春菜)

コラム

ブドウ樹の病害と新しい対策について<後編>-Pest / 有害生物- (仕入れ担当 末冨春菜)

多くのワインメーカーが「素晴らしいワインは素晴らしいブドウから生まれる」とし、畑での作業に多くの時間を費やしています。このコラムでは全3回に分けて、畑にフォーカスし、生産者、そしてブドウ(樹)を脅かす病害とその最新の対策について見ていきたいと思います。 第1回は幹の感染症、第2回はカビ・細菌・ウイルス病について紹介しました。最終回となる今回は、有害生物(害虫)をご紹介します。 ①有害生物(害虫)による被害 有害生物は様々な方法でブドウ畑を襲います。ブドウ粒の食害や、ブドウ葉に物理的に損傷を与え光合成能力を低下させるだけでなく、葉の上に住み、樹液を吸ってブドウ樹全体を弱らせたり、根を攻撃し、ブドウ樹の水分や栄養分の吸収能力を低下させます。さらに、媒介者としてブドウ樹からブドウ樹へと病気やウイルスなどを感染させるという害も与えます。 栽培家にとって一番シンプルな対応法に殺虫剤や殺ダニ剤の使用がありますが、これは最小限に抑えたとしても畑に生息する捕食者となる益虫まで殺してしまう事があります。環境への負荷を0に近づけながら害虫の被害も無くすため、栽培家は畑や植物を注意深く観察しながら

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【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念🍾】 ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開!後編:「シャンパーニュにおける栽培・醸造」

コラム

【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念🍾】 ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開!後編:「シャンパーニュにおける栽培・醸造」

4月5日〜10日まで、フィラディスが正規代理店を務めるシャンパーニュのアルチザン6名が同時に来日し、東京と大阪で様々なイベントを行いました。 どの会場もご来場いただいた皆さまの熱気で非常に盛り上がり、生産者たちは心から満足した様子で帰路につきました。ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました!! 今回の来日ではソムリエ協会に協力を仰ぎ、東京と大阪にてパネルディスカッションを行いました。前編と後編で3生産者ずつに分け、前編は「土壌とスタイルの関係性」、後編は「栽培・醸造」というテーマでそれぞれの考えを伺いました。 6月号では前編「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」の内容をご紹介しましたので、今号では後編「シャンパーニュにおける栽培・醸造」を公開します。 前編「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」 https://firadis.net/column_pro/202406/ アルチザン・シャンパーニュとは かつてシャンパーニュのマーケットはメゾンの独壇場でした。時代を経て、テロワールを深く意識した小規模生産者が台頭し、より幅広い選択肢の中からシャンパ

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ブドウ畑を陰から支える台木。その品種選択を探る。( ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

ブドウ畑を陰から支える台木。その品種選択を探る。( ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

新たなブドウ畑の開墾や既存畑の植替えの際に検討することになるのが台木品種の選択です。この台木の選択は、現代ブドウ栽培において重要視される項目の一つとなっています。台木(rootstock ルーツストック)とは、その名の通り果実品種(ブドウ品種)の穂木を接ぎ木する“台となる木”の事でブドウ樹の下部半分を指し、地中部に拡がる根の特性が選択のカギとなります。 根は植物自身が雨風で流されない様に表土に固定する物理的役割の他に、水分と栄養素を地中から吸収する化学的役割があります。根が地中に力強く広がり多くの水分と栄養素を取り込めば、ブドウ樹上部の樹勢は強くなります。また、土中害虫への抵抗力、土壌pHや石灰岩含有量、土壌塩分濃度など生育環境が根に適していれば、ブドウ樹の樹齢も長くなります。更に、降雨量や気温などその土地の気候条件に根が対応できれば、出来上がるブドウの質と量も向上するでしょう。 一般的に台木に使われるのはアメリカ系品種で、主に3種類あります。川ブドウと呼ばれ、涼しく湿った河川域を原産とし、根を浅く張るリパリア。岩ぶどうの種類で樹勢が強く、根を深く張る傾向のあるルペストリス、同じく

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鰻の白焼と蒲焼に合うワインとは?(広報 浅原有里)

マリアージュ

鰻の白焼と蒲焼に合うワインとは?(広報 浅原有里)

今年も猛暑になるだろうとの予想が発表されていますが、夏バテ防止に食べたくなるのが鰻ですよね。今年は「土用の丑の日」が7月24日(一の丑)、8月5日(二の丑)と2回あり、注目度が更に増すかもしれません。 皆さまは、そんな鰻に合わせるワインというと何が思い浮かぶでしょうか? 今回のマリアージュ実験では、横浜・関内にある「うなぎと炭焼 久松」様の協力の元、天然と養殖の2種類の鰻をご用意いただき、白焼と蒲焼という異なる焼き方で調理いただいたものを、27種類のワインと合わせて検証してみました。 鰻について 天然鰻は琵琶湖産、養殖鰻は浜名湖産をご用意いただきました。 どちらも身が厚く旨味が豊富で味わいも強かったのですが、比べてみると、天然は筋肉質で噛み応えがあり脂はそれほど多くないさっぱりとした味わいでした。養殖は天然に比べると脂があってどっしりしていますが、癖は強くなく柔らかで繊細だと感じました。 尚、白焼にはわさびを、蒲焼には山椒を、ほのかに香る程度に少し付けて食べています。 マリアージュの判断方法 「ボリューム」「テクスチャー」「フレーバー」「五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)

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【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念】ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開! 前編:「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」

コラム

【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念】ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開! 前編:「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」

4月5日〜10日まで、フィラディスが正規代理店を務めるシャンパーニュのアルチザン6名が同時に来日し、東京と大阪で様々なイベントを行いました。 どの会場もご来場いただいた皆さまの熱気で非常に盛り上がり、生産者たちは心から満足した様子で帰路につきました。ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。 さて、今回の来日ではソムリエ協会に協力を仰ぎ、東京と大阪にてパネルディスカッションを行いました。前編と後編で3生産者ずつに分け、前編は「土壌とスタイルの関係性」、後編は「栽培・醸造」というテーマでそれぞれの考えを伺いました。 参加者の皆さまから、「個性が分かりやすい」「アプローチの違いに生産者の哲学やスタイルが現れていて面白い」と大変好評をいただきましたので、今号では前編「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」の内容を公開します。 アルチザン・シャンパーニュとは かつてシャンパーニュのマーケットはメゾンの独壇場でした。時代を経て、テロワールを深く意識した小規模生産者が台頭し、より幅広い選択肢の中からシャンパーニュを楽しむことが新たなスタンダードとなりつつあります。 フィ

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『ドローンワイン・プロジェクト』の新たな取り組みブドウ畑の「カーボン吸収力」見える化に向けたチャレンジ

コラム

『ドローンワイン・プロジェクト』の新たな取り組みブドウ畑の「カーボン吸収力」見える化に向けたチャレンジ

2020年にドローン・ジャパン株式会社とのコラボレーションにより始動した『ドローンワイン・プロジェクト』。「ドローン&AI」を活用し、“農薬や化学肥料に頼らない栽培支援技術”を発展させ、「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことを目指して活動しています。 今年より新たな取り組みを行うフェーズに入ったとの情報を得まして、ドローン・ジャパン株式会社の勝俣 喜一朗社長に再度お話を伺いました! これまでの活動成果 以前のニュースレターでもお伝えしたとおり、これまで『ドローンワイン・プロジェクト』ではワイン用ブドウ畑の①テロワールの見える化、②摘葉の自動化、③水分量の把握、④雑草の自動除草 などを目指し、当社が懇意にする南フランスのワイナリーの協力を得ながら研究を進めてきました。それにより、ブドウ畑の「地力分布」と「雑草識別」を表現する技術を開発しました。 ※詳細はこちら https://firadis.net/column_pro/202105/ 1. ドローンによる地力分布 ワイン用ブドウの樹勢の生育期ごと「形・色・大きさ」を学習、AI画像解析することで

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全房発酵の目的とは。ワインメーカーの意図を読み解く。(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

全房発酵の目的とは。ワインメーカーの意図を読み解く。(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

今回はワイナリーでの醸造をテーマに、「全房発酵(whole bunch fermentation)」について掘り下げてみます。 全房発酵とは ピノ・ノワールの生産者を中心に、醸造手法の一つとして度々登場する全房発酵。これは全量または一部のブドウ房を除梗、破砕せずにそのまま発酵槽に入れ、発酵を進める醸造工程を指します。 全房発酵を紐解く上で押さえたいポイントは2つ。ブドウ房をそのまま使用するため、果梗(stem)と未破砕果(ホールベリー whole berry)が含まれる事です。 果梗が発酵槽に加わる事で、急激な発酵温度上昇の抑制、スパイス香成分オイゲノールのマストへの抽出、果梗による色素やアルコールの若干量の吸収、そしてタンニンの抽出(ワインメーカーによって見解に違いはあります)が行われます。 また、未破砕果による醸造での最も大きな影響は細胞内発酵(intracellular fermentation)*1です。すり潰した苺やラズベリーの香り成分エチル・シナメートの生成、更に果皮からのタンニン抽出が緩やかになる作用*2がその特徴です。これが顕著に現れているのが、マセラシオン・カ

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