★目的別★おすすめのワイン関連書籍

★目的別★おすすめのワイン関連書籍
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皆さま、こんにちは。ただ今夏真っ盛りではありますが、一足早く「読書の秋」を先取り!ということで、今回はフィラディス社員がおすすめするワイン関連の書籍を、目的や難易度別にご紹介していきたいと思います。

初級編:気軽にワインにまつわる本を読みたい方向け

初級編のナビゲーターは、フィラディス公式ECサイト「Firadis WINE CLUB」の五十嵐店長です。 ショップ会員様向けに、“読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本”を毎月1冊ご紹介する『店長五十嵐おすすめワイン本』シリーズから、特におすすめの4冊をピックアップしてもらいました。

『じいちゃんが語るワインの話 ブドウの年代記』 (フレッド・ベルナール 著、田中裕子 訳 / エクスナレッジ)

ワイン造りの仕事は継がずバンド・デシネ(フランスの漫画)作家になった主人公フレッドが、大好きな「じいちゃん(頑固なワイン職人、90歳)」からワインにまつわるあれこれを聞く・・・という仕立ての本です。 その話題は酒飲みならではの笑える豪快な話からワイン職人としての哲学やエピソード、そして第二次世界大戦中ドイツ占領下のブルゴーニュ地方の暮らしぶりなど様々なテーマに渡ります。「じいちゃん」のキャラクターにげらげら笑いながらも、軽くなりすぎず重くもなりすぎず、絶妙なバランスで読ませてくれる一冊です。 全編にわたって、ファミリーがドメーヌを構えるサヴィニー・レ・ボーヌのブドウ畑や街並みが色彩豊かに描かれており、ところどころに挟み込まれる風景の1枚画を眺めているだけでも楽しんでいただけると思います。

『ワイン語辞典』 (中濱潤子 著、キムコ玉川 絵 / 誠文堂新光社)

ちょっとした隙間時間にパラパラめくって楽しめる、ひとり飲みのお供にも最適な一冊です。 ワインの言葉の辞典というと難しく感じるかもしれませんが、こちらは専門用語などではなく、もっと面白いワイン界の有名人やゴシップ的出来事なども紹介しています。(「海原雄山」なんてう項目まで入っているくらいです (笑)) 10-20秒で1人の人物や事件についてザックリと知り、知識を増やせるのが良いところ。気になった項目については他の専門書やネットで参考記事を探して読んでみる・・・という形で、ワインを様々な角度から切り取って自分の興味を深掘りするきっかけを沢山掴めるのではないかな、と思います。

『においと味わいの不思議 知ればもっとワインがおいしくなる』 (東原和成、佐々木佳津子、伏木亨、鹿取みゆき 共著 / 虹有社)

なぜ人は「おいしい」と思うのか?の謎に迫った非常に面白い本です。青山のワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」で開催されたセミナーで、4人の講師がお話しされた講義内容が書籍化されています。

どのテーマも面白いのですが、発見が多かったのは第1章「においとは何か?」でした。まず驚かされたのが、ワインの香りを構成する要素の中には決してポジティヴでないものも含まれているということ。とある白ワインには、リンゴの香りやシロップの香り、ガムの香りに加えて「足の裏のにおい」「生ごみのにおい」も要素として混ざっているのだとか。でも、それが混ざり合うことで初めて良い香りが生まれるのだそうです。
ココ・シャネルが香水を開発するときに敢えて酔っ払いやカメムシが発するアルデヒドのにおいを混ぜることで素晴らしい香りを作った、といったエピソードも紹介されており、理系科目アレルギーの方でも気楽に楽しめるように書かれていますのでご安心を…!

『酔っ払いが変えた世界史』 (ブノワ・フランクバルム 著、神田 順子・村上 尚子・田辺 希久子 翻訳 / 原書房)

誰もが知るような歴史上の大きな出来事・事件を21個ピックアップし、その背景にあったお酒の物語を紐解いていく短編集的な1冊。ワインだけではなく、ビール、ウィスキー、コニャック、ラム、ウォッカなど様々なお酒が「鍵」となった21の出来事が時系列順に並べられています。 取り上げられるのは、メソポタミア文明でのビール誕生から、ヨーロッパ百年戦争、フランス革命、アメリカ独立戦争、近年ではリンカーン暗殺、JFK暗殺などどれも映画になるような有名な出来事ばかり。そしてその出来事や事件が起こる必然として「酒」があった、という、酔っ払いの読者にはたまらなく面白いエピソードが語られています。


中級編:ソムリエ/ワインエキスパート取得後に、更に知識を深めたい方向け

中級編のナビゲーターは、ファインワイン担当でフィラディスで最もワイン関連の本を読み込んでいるスタッフ・曽束です。 ソムリエやワインエキスパート資格相当の勉強後に、更に深い知識を得るために必読の書籍をご紹介します。

『ワイン用葡萄ガイド ―MW(マスター・オブ・ワイン) ジャンシス・ロビンソンによるワイン醸造用葡萄800品種の徹底ガイド』 (ジャンシス・ロビンソン 著、ウォンズパブリシングリミテッド翻訳・出版)

その名の通り、800種類のブドウ品種について、起源や味わい、産地、栽培時の特徴などが詳細に、且つ魅力的に書かれたガイド本です。 2019年には『ワイン用 葡萄品種大事典:1,368品種の完全ガイド』という4万円以上の大きな事典も発売されていますが、こちらは小さいポケットブックなので手元に置いておいてちょっとした調べ物をする時にとても役立ちます。

『ブルゴーニュワイン大全』 (ジャスパー・モリス 著、阿部 秀司・立花 峰夫・葉山 考太郎・堀田 朋行 翻訳 / 白水社)

ブルゴーニュを心から愛する著者ジャスパー・モリスMVが長年に渡って蓄積してきた緻密なデータが、余すところなく納められた1冊です。ブルゴーニュのグラン・クリュから知る人ぞ知る小区画までのブドウ畑や造り手たち、そこから生み出されるワインまで、詳細な情報が収められています。 ソムリエやワインエキスパートの試験勉強では追うことができない、ブルゴーニュの生産者の情報を知るのに最適です。

『ブルゴーニュのグラン・クリュ』 (レミントン・ノーマン 著、日向 理元 訳 / 白水社)

更にブルゴーニュについて深く知りたい方におすすめなのがこちらの書籍です。グラン・クリュのそれぞれの畑を垂直視点でとらえ、歴史、地質、語源、主要所有者、ワインの特徴を総合的に解説しています。 どんどん高嶺の花になっていくブルゴーニュのグラン・クリュですが、読み物としてもとても面白く、テロワールがワインに及ぼす影響などワインという飲み物をもう一歩深く知るために最適な良書です。

『イタリアワイン産地ガイド 地図でわかるDOCGとDOC』 (中川原 まゆみ 著、坂本 雄一 作図 / ガイアブックス )

2022年2月に発売されたイタリアワインガイドの完全版ともいえる書籍です。 細やかな現地取材によって得られた情報を盛り込んだオリジナル地図により、畑の方位、標高の高さ、勾配角度、海や河川からの距離などを視覚的に理解することができます。また、産地の栽培品種から、気候、土壌、ブドウ栽培者による畑の仕立ての違いなども詳解されています。


上級編:WSET Level4 Diploma レベルの知識を得たい方向け

上級編のナビゲーターは、WSET Level4 Diploma を取得し、更なる高みを目指してワインの勉強を続けている商品管理部の山田です。 WSET Level4 Diploma を目指している方や、ワイン造りを学んでいる方に最適な書籍やテキストをご紹介します。

『The Oxford Companion to Wine』(英語) (Jancis Robinson 編集、Julia Harding 編集 / Oxford Univ Pr)

ワイン関連の用語辞典で、品種や醸造、土壌などワインに関連する様々な項目が学術的に詳しく書かれています。中級編でご紹介した『ワイン用葡萄ガイド』を書いたジャンシス・ロビンソンの編集のため、ブドウ品種について細かく知りたい時には特におすすめです。 書籍の内容を全て参照できる有料のWEBサイトも用意されています。

WEBサイト JancisRobinson.com

『The World Atlas of Wine[世界のワイン図鑑]』 (ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン 著、山本 博 監修、村松 静枝 翻訳 / ガイアブックス)

ワイン産地について詳しく知りたい時に役に立つ書籍です。 有名産地から比較的マイナーな産地まで網羅しており、成り立ちや歴史、土壌、ワイン造りの特徴などを解説しています。 ただし、ブルゴーニュなどの有名産地はより詳しい本がたくさん出ているので若干物足りなさを感じるかもしれません。

『VINES & VINIFICATION』(英語) (SALLY EASTON 著 / WINE & SPIRIT EDUCATION TRUST)

ワイン生産の教科書ともいうべき1冊です。
より高いレベルのワイン資格の勉強用としてWSETと共同で書かれており、ブドウ栽培から、土壌、醸造、酵母の種類、クローンの種類、添加物、ボトルはどういう形状が良いのか、コルクについてなど、ワイン生産にまつわるあらゆる側面を解説しています。

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熟成ワインの魅力(後編)

熟成ワインの魅力(後編)

前編では、ワインの熟成が単なる時間の経過ではなく、構造的・化学的な変容プロセスであることを解説しました。そこには、果実味やタンニン、酸などの要素が複雑に絡み合い、時間とともに香りや味わいの深みが増していく神秘がありました。 もに香りや味わいの深みが増していく神秘がありました。 後編では、まずはワインの色調変化から解説し、長期熟成に適した品種や産地の特性を整理します。あわせて、品質を左右する熟成環境──保管方法や温度・湿度管理の要点についても、具体的に見ていきます。 4. 色の変化:時が刻むワインの色調の移ろい ワインの外観、特にその色調は、熟成度合いや健康状態を判断するための重要な視覚的手がかりとなります。熟成のプロセスは、ワインに含まれる色素成分(赤ワインではアントシアニン、白ワインではフラボノイドなど)が、酸化、重合、分解といった化学変化を経ることで、色調に顕著な変化を引き起こします。 赤ワインの色の変化: ・若年期(Young): 若い赤ワインは、紫や濃いルビーの色調を呈することが多く、鮮やかで密度の高い印象を与えます。特に若いカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーな

By YURI ASAHARA
熟成ワインの魅力(前編)

熟成ワインの魅力(前編)

「熟成」。ワインの世界において、この言葉は単なる時間経過以上の、複雑で深遠な意味合いを持ちます。若々しいワインが瓶の中で静かに変容を遂げ、新たな香りと味わいを獲得していくプロセスは、多くのワイン愛好家を魅了し、探求心を刺激してやみません。しかし、熟成の本質とは何か?どのような要素がワインに長期の熟成能力を与え、その過程でどのような変化が生じるのか?そして、そのポテンシャルを最大限に引き出すための理想的な環境とは? 今号と次号のコラムでは、ワインの熟成という多岐にわたるテーマを、6つの主要な側面から深く掘り下げていきます。熟成の基本的なメカニズムから、熟成ポテンシャルを持つワインの特徴、香りや色調の変化、品種やテロワールの影響、そして熟成環境を左右する保管方法まで、ワインが時を経て見せる神秘的な変容の核心に迫りながら、熟成の奥深い世界を探求していきましょう。 1. 熟成とは何か?:ワインが遂げる変容のプロセス ワインにおける「熟成」は、単なる「古くなること」とは一線を画します。それは、瓶という閉鎖された環境の中で、ワインに含まれる無数の化合物が、酸素との微細な相互作用や、互いの

By a.watanabe
太陽光の重要性を探るー“あるかないか”ではなく“どう与えるか” (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

太陽光の重要性を探るー“あるかないか”ではなく“どう与えるか” (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

「ワインは太陽の光に満ちた水である。―― Le vin est de l’eau emplie de soleil.」 これは、ワイン造りにおける太陽光の重要性を表したフランスのことわざです。 太陽の光がなければブドウ樹は成長せず、果実も実らず、そして熟すこともありません。光は光合成の必須要素であり、ポリフェノールの蓄積を促し、香り成分の形成にも深く関わっています。さらに、太陽がしっかりと降り注ぐ環境では湿度が低く保たれるため、カビによる病害の発生が抑えられ、健全な果実の収穫にもつながります。 しかし、太陽光の恩恵がブドウの品質にとって“絶対条件”だった時代と比べ、現代の多くの産地では状況が変化しています。今では、過剰な日射はむしろ品質を損ねる要因となり、世界各地で見られる「日焼け果」や「萎れ果」はその象徴的な例です。 本稿では、11月に筆者が訪れたチリのワイン産地でのインタビューを交えながら、太陽光がもはや単なる“恵み”ではなく、ブドウの品質を左右する「最適化すべき必須条件」となっている理由を探っていきます。 葉への作用―光合成 光・二酸化炭素・水を必要とする光合成におい

By a.watanabe