またまたレアワインを発見! ノン・ヴィンテージのシャトー・マルゴーや、ピション・ラランドの「サン・ジュリアン」とは??(広報 浅原 有里)

またまたレアワインを発見! ノン・ヴィンテージのシャトー・マルゴーや、ピション・ラランドの「サン・ジュリアン」とは??(広報 浅原 有里)
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みなさま、こんにちは。
以前、KrugのクレマンやCh. Latourのロゼなど、激レアワインをご紹介しました*が、また新しいアイテムが手に入りましたのでご紹介したいと思います。


1つ目は、「Ch. Margaux Non Millesime」 です。なんと、Ch. Margauxの長い歴史の中で唯一のノン・ヴィンテージとなった1965年のワインです!
公式サイトによると、「1965年は、シャトー・マルゴーが誕生しなかった唯一の例です。ワインの品質は極めて平凡で、ほかのヴィンテージワインと混ぜ合わされ、結果、『シャトー・マルゴー・ノン・ミレジメ』が生産されることになりました。今の感覚では突飛な決断であるように思われるかもしれませんが、この時代の極めて困窮した状況をおそらく考慮すべきでしょう。」とのこと。
この年は収穫直前の9月に雨が降り続き、破滅的な天候だったようで、ブドウの実はすぐに悪化して「まっとうな収穫ができなかった。」と書かれていました。シャトーの無念さが伝わってくるようですね。。


そして、2つ目はこちら!Ch. Pichon Longueville Comtesse de Lalande(通称Pichon Lalande)の「Saint Julien」です。2006年ヴィンテージは400ケースに満たない数しか生産されなかった、まさに激レアなワインです。

このワインの出自を知るためには、Pichon Lalandeの個性となかなか興味深い所有畑の構成を理解する必要があります。

Pichon Lalandeは言わずと知れたボルドー、ポイヤック村の二級シャトーです。その品質と人気の高さからスーパーセカンドと評されており、ポイヤックならではの力強く男性的な味わいは持ちながらも、同村の他の有名シャトーと比べると最も優美でエレガントなスタイルが特長です。

その優美さの理由の1つは、ポイヤックの中ではメルロ比率が高いこと。そしてもう1つはポイヤックの一番南に位置しており、エレガントさやしなやかさといった個性を発揮するサン・ジュリアン村に隣接していることが関係しています。

実は、シャトーが所有する約100haのブドウ畑のうち、11haはサン・ジュリアンにあり、ファーストワインであるPichon Lalandeにもその一部が使われています。 サン・ジュリアンの畑のブドウを使っても、なんとアペラシオンとしてはポイヤックと名乗ることが許されているのです。

ただそのうちの1haについてはPichon Lalandeとは別に醸造され、スタッフや関係者向けに「サン・ジュリアン」というワインとして生産されています。今回のワインはまさにその2006年ヴィンテージとなります。

バックラベルにワインの説明が書かれていますが、サン・ジュリアンに所有する畑は“Just 1ha”だとありますので上記のお話は公然の秘密なのかもしれませんね。笑

セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン80%にメルロ20%で、15ヶ月のフレンチオークバリック熟成(新樽50%)です。

気になる味わいですが、熟成のニュアンスがきれいに出ており、まず華やかさのあるアロマが立ち上がりました。黒く粒の小さいベリーがフレッシュな状態からドライに差し掛かっているようなニュアンスが感じられ、クローヴや茶系のスパイスが香ります。終盤には樽の甘やかさやシガー、キノコ、紅茶の香りを感じました。
口に含むと、美しく滑らかなアタックがあり、しっかりとしたタンニンが骨格を形成しています。2006年というヴィンテージの特徴でまだタンニンの印象がやや強いですが、それを凌駕する甘やかな果実味が心地良く広がり、滑らかで長い余韻が続きました。全体的にサン・ジュリアンらしさが感じられる素晴らしいワインでした。

もしも出会う機会があればぜひお試しください!


*前回の記事:Krug の“クレマン”とは??これまでに出会ったマニア垂涎の『激レアワイン』をご紹介します!
(ファインワイン担当 曽束 仁寿)
https://firadis.net/column_pro/201802/

*Pichon Lalandeについてもっと知りたい!という方は、弊社のYoutubeチャンネルへどうぞ♪
【教えて!石田さん】シャトー・ピション・ラランドの魅力 Ch. Pichon Longueville Comtesse de Lalande【社長解説シリーズ】

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熟成ワインの魅力(後編)

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前編では、ワインの熟成が単なる時間の経過ではなく、構造的・化学的な変容プロセスであることを解説しました。そこには、果実味やタンニン、酸などの要素が複雑に絡み合い、時間とともに香りや味わいの深みが増していく神秘がありました。 もに香りや味わいの深みが増していく神秘がありました。 後編では、まずはワインの色調変化から解説し、長期熟成に適した品種や産地の特性を整理します。あわせて、品質を左右する熟成環境──保管方法や温度・湿度管理の要点についても、具体的に見ていきます。 4. 色の変化:時が刻むワインの色調の移ろい ワインの外観、特にその色調は、熟成度合いや健康状態を判断するための重要な視覚的手がかりとなります。熟成のプロセスは、ワインに含まれる色素成分(赤ワインではアントシアニン、白ワインではフラボノイドなど)が、酸化、重合、分解といった化学変化を経ることで、色調に顕著な変化を引き起こします。 赤ワインの色の変化: ・若年期(Young): 若い赤ワインは、紫や濃いルビーの色調を呈することが多く、鮮やかで密度の高い印象を与えます。特に若いカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーな

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熟成ワインの魅力(前編)

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太陽光の重要性を探るー“あるかないか”ではなく“どう与えるか” (ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

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