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ブドウ樹の病害と新しい対策について<後編>-Pest / 有害生物- (仕入れ担当 末冨春菜)

コラム

ブドウ樹の病害と新しい対策について<後編>-Pest / 有害生物- (仕入れ担当 末冨春菜)

多くのワインメーカーが「素晴らしいワインは素晴らしいブドウから生まれる」とし、畑での作業に多くの時間を費やしています。このコラムでは全3回に分けて、畑にフォーカスし、生産者、そしてブドウ(樹)を脅かす病害とその最新の対策について見ていきたいと思います。 第1回は幹の感染症、第2回はカビ・細菌・ウイルス病について紹介しました。最終回となる今回は、有害生物(害虫)をご紹介します。 ①有害生物(害虫)による被害 有害生物は様々な方法でブドウ畑を襲います。ブドウ粒の食害や、ブドウ葉に物理的に損傷を与え光合成能力を低下させるだけでなく、葉の上に住み、樹液を吸ってブドウ樹全体を弱らせたり、根を攻撃し、ブドウ樹の水分や栄養分の吸収能力を低下させます。さらに、媒介者としてブドウ樹からブドウ樹へと病気やウイルスなどを感染させるという害も与えます。 栽培家にとって一番シンプルな対応法に殺虫剤や殺ダニ剤の使用がありますが、これは最小限に抑えたとしても畑に生息する捕食者となる益虫まで殺してしまう事があります。環境への負荷を0に近づけながら害虫の被害も無くすため、栽培家は畑や植物を注意深く観察しながら

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【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念🍾】 ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開!後編:「シャンパーニュにおける栽培・醸造」

コラム

【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念🍾】 ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開!後編:「シャンパーニュにおける栽培・醸造」

4月5日〜10日まで、フィラディスが正規代理店を務めるシャンパーニュのアルチザン6名が同時に来日し、東京と大阪で様々なイベントを行いました。 どの会場もご来場いただいた皆さまの熱気で非常に盛り上がり、生産者たちは心から満足した様子で帰路につきました。ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました!! 今回の来日ではソムリエ協会に協力を仰ぎ、東京と大阪にてパネルディスカッションを行いました。前編と後編で3生産者ずつに分け、前編は「土壌とスタイルの関係性」、後編は「栽培・醸造」というテーマでそれぞれの考えを伺いました。 6月号では前編「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」の内容をご紹介しましたので、今号では後編「シャンパーニュにおける栽培・醸造」を公開します。 前編「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」 https://firadis.net/column_pro/202406/ アルチザン・シャンパーニュとは かつてシャンパーニュのマーケットはメゾンの独壇場でした。時代を経て、テロワールを深く意識した小規模生産者が台頭し、より幅広い選択肢の中からシャンパ

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ブドウ畑を陰から支える台木。その品種選択を探る。( ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

ブドウ畑を陰から支える台木。その品種選択を探る。( ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

新たなブドウ畑の開墾や既存畑の植替えの際に検討することになるのが台木品種の選択です。この台木の選択は、現代ブドウ栽培において重要視される項目の一つとなっています。台木(rootstock ルーツストック)とは、その名の通り果実品種(ブドウ品種)の穂木を接ぎ木する“台となる木”の事でブドウ樹の下部半分を指し、地中部に拡がる根の特性が選択のカギとなります。 根は植物自身が雨風で流されない様に表土に固定する物理的役割の他に、水分と栄養素を地中から吸収する化学的役割があります。根が地中に力強く広がり多くの水分と栄養素を取り込めば、ブドウ樹上部の樹勢は強くなります。また、土中害虫への抵抗力、土壌pHや石灰岩含有量、土壌塩分濃度など生育環境が根に適していれば、ブドウ樹の樹齢も長くなります。更に、降雨量や気温などその土地の気候条件に根が対応できれば、出来上がるブドウの質と量も向上するでしょう。 一般的に台木に使われるのはアメリカ系品種で、主に3種類あります。川ブドウと呼ばれ、涼しく湿った河川域を原産とし、根を浅く張るリパリア。岩ぶどうの種類で樹勢が強く、根を深く張る傾向のあるルペストリス、同じく

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鰻の白焼と蒲焼に合うワインとは?(広報 浅原有里)

マリアージュ

鰻の白焼と蒲焼に合うワインとは?(広報 浅原有里)

今年も猛暑になるだろうとの予想が発表されていますが、夏バテ防止に食べたくなるのが鰻ですよね。今年は「土用の丑の日」が7月24日(一の丑)、8月5日(二の丑)と2回あり、注目度が更に増すかもしれません。 皆さまは、そんな鰻に合わせるワインというと何が思い浮かぶでしょうか? 今回のマリアージュ実験では、横浜・関内にある「うなぎと炭焼 久松」様の協力の元、天然と養殖の2種類の鰻をご用意いただき、白焼と蒲焼という異なる焼き方で調理いただいたものを、27種類のワインと合わせて検証してみました。 鰻について 天然鰻は琵琶湖産、養殖鰻は浜名湖産をご用意いただきました。 どちらも身が厚く旨味が豊富で味わいも強かったのですが、比べてみると、天然は筋肉質で噛み応えがあり脂はそれほど多くないさっぱりとした味わいでした。養殖は天然に比べると脂があってどっしりしていますが、癖は強くなく柔らかで繊細だと感じました。 尚、白焼にはわさびを、蒲焼には山椒を、ほのかに香る程度に少し付けて食べています。 マリアージュの判断方法 「ボリューム」「テクスチャー」「フレーバー」「五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)

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【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念】ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開! 前編:「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」

コラム

【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念】ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開! 前編:「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」

4月5日〜10日まで、フィラディスが正規代理店を務めるシャンパーニュのアルチザン6名が同時に来日し、東京と大阪で様々なイベントを行いました。 どの会場もご来場いただいた皆さまの熱気で非常に盛り上がり、生産者たちは心から満足した様子で帰路につきました。ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。 さて、今回の来日ではソムリエ協会に協力を仰ぎ、東京と大阪にてパネルディスカッションを行いました。前編と後編で3生産者ずつに分け、前編は「土壌とスタイルの関係性」、後編は「栽培・醸造」というテーマでそれぞれの考えを伺いました。 参加者の皆さまから、「個性が分かりやすい」「アプローチの違いに生産者の哲学やスタイルが現れていて面白い」と大変好評をいただきましたので、今号では前編「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」の内容を公開します。 アルチザン・シャンパーニュとは かつてシャンパーニュのマーケットはメゾンの独壇場でした。時代を経て、テロワールを深く意識した小規模生産者が台頭し、より幅広い選択肢の中からシャンパーニュを楽しむことが新たなスタンダードとなりつつあります。 フィ

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『ドローンワイン・プロジェクト』の新たな取り組みブドウ畑の「カーボン吸収力」見える化に向けたチャレンジ

コラム

『ドローンワイン・プロジェクト』の新たな取り組みブドウ畑の「カーボン吸収力」見える化に向けたチャレンジ

2020年にドローン・ジャパン株式会社とのコラボレーションにより始動した『ドローンワイン・プロジェクト』。「ドローン&AI」を活用し、“農薬や化学肥料に頼らない栽培支援技術”を発展させ、「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことを目指して活動しています。 今年より新たな取り組みを行うフェーズに入ったとの情報を得まして、ドローン・ジャパン株式会社の勝俣 喜一朗社長に再度お話を伺いました! これまでの活動成果 以前のニュースレターでもお伝えしたとおり、これまで『ドローンワイン・プロジェクト』ではワイン用ブドウ畑の①テロワールの見える化、②摘葉の自動化、③水分量の把握、④雑草の自動除草 などを目指し、当社が懇意にする南フランスのワイナリーの協力を得ながら研究を進めてきました。それにより、ブドウ畑の「地力分布」と「雑草識別」を表現する技術を開発しました。 ※詳細はこちら https://firadis.net/column_pro/202105/ 1. ドローンによる地力分布 ワイン用ブドウの樹勢の生育期ごと「形・色・大きさ」を学習、AI画像解析することで

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全房発酵の目的とは。ワインメーカーの意図を読み解く。(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

全房発酵の目的とは。ワインメーカーの意図を読み解く。(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

今回はワイナリーでの醸造をテーマに、「全房発酵(whole bunch fermentation)」について掘り下げてみます。 全房発酵とは ピノ・ノワールの生産者を中心に、醸造手法の一つとして度々登場する全房発酵。これは全量または一部のブドウ房を除梗、破砕せずにそのまま発酵槽に入れ、発酵を進める醸造工程を指します。 全房発酵を紐解く上で押さえたいポイントは2つ。ブドウ房をそのまま使用するため、果梗(stem)と未破砕果(ホールベリー whole berry)が含まれる事です。 果梗が発酵槽に加わる事で、急激な発酵温度上昇の抑制、スパイス香成分オイゲノールのマストへの抽出、果梗による色素やアルコールの若干量の吸収、そしてタンニンの抽出(ワインメーカーによって見解に違いはあります)が行われます。 また、未破砕果による醸造での最も大きな影響は細胞内発酵(intracellular fermentation)*1です。すり潰した苺やラズベリーの香り成分エチル・シナメートの生成、更に果皮からのタンニン抽出が緩やかになる作用*2がその特徴です。これが顕著に現れているのが、マセラシオン・カ

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世界におけるバルクワインの位置付けと日本の現状(バイヤー 山田篤典)

コラム

世界におけるバルクワインの位置付けと日本の現状(バイヤー 山田篤典)

バルクワイン概要 ①バルクワインとは バルクワイン(Bulk Wine)は読んで字のごとくBulk=大量なワインで、ボトルに入った状態ではなく液体の状態で大量に輸入されて、消費国でボトリングし販売されるワインのことを指します。 日本ではまだまだ一般的と認知はされていませんが、実は世界のワイン生産量の32%(2022年、金額ベースでは7%)を占めている重要なカテゴリーの一つです。 オランダで開催されるWBWEやアメリカで行われるIWBSSなどバルク専門の展示会も世界では開催されています。 ②バルクワインの輸入フロー ボトルワインとバルクワインでは輸入フローが大きく異なります。 ボトル輸入の場合は、既に製品化されたワインを選定し、コンテナにボトルの状態で搬入して日本に輸入、到着後販売をすることが一般的です。 一方バルク輸入の場合は、まずは原酒の選定をします。一般的にこの段階ではまだ製品化されていないため、輸入者とワイナリーで相談しながらブレンドなどを行い、最適な味わいのスタイルや価格などを決定します。その後、ワインを液体の状態でコンテナに充填し、日本に輸入します。輸入した後に、

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京都で親しまれる冬の風物詩『京漬物』と ワインの相性とは?(広報 浅原 有里)

マリアージュ

京都で親しまれる冬の風物詩『京漬物』と ワインの相性とは?(広報 浅原 有里)

2024年初のマリアージュ実験のテーマは、まさに今が旬である京都を代表するお漬物「千枚漬」と「すぐき」、そして京風味の「奈良漬」です。 お漬物とひとくくりにされていますが、味わいはそれぞれ大きく異なります。日本酒やお茶との相性の良さは皆さまもご存知だと思いますが、果たしてワインにはマリアージュするのか?合うのであれば、どんなワインが良いのでしょうか? 今回は京都・錦小路に3つのお店を構え、全国にも直営店や販売店を持つ株式会社桝悟(ますご)様にご協力いただき、徹底的に検証してみました! 京漬物について 京漬物とは、可能な限り京都府産の野菜を使用し、京都で伝統的な製法により作られたお漬物のこと。野菜本来の持ち味を活かし、塩分控えめで作られており、千枚漬・すぐき・しば漬が三大漬物と称されます。今回は千枚漬とすぐきに加え、京風味に作られた奈良漬という三者三様の味わいのお漬物で実験を行いました。 千枚漬 京野菜のひとつである聖護院かぶらを利尻昆布とともに漬け込んだ冬の京漬物の代表です。ひと樽に漬け込むかぶらが千枚になるほど薄く削ったことから「千枚漬」と名付けられたと伝えられています

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ブドウ樹の病害と新しい対策について <中編>―カビ病、細菌病、ウイルス病―  (仕入れ担当 末冨 春菜)

コラム

ブドウ樹の病害と新しい対策について <中編>―カビ病、細菌病、ウイルス病― (仕入れ担当 末冨 春菜)

多くのワインメーカーが「素晴らしいワインは素晴らしいブドウから生まれる」とし、畑での作業に多くの時間を費やしています。このコラムでは全3回に分けて、畑にフォーカスし、生産者、そしてブドウ(樹)を脅かす病害とその最新の対策について見ていきたいと思います。 第1回は幹の感染症についてご紹介しました。今回はカビや細菌、ウイルスによって引き起こされる病気をご紹介します。 ①感染症を引き起こす病原体 人間、そして植物に影響を与える感染症は世界中に数多くありますが、主にウイルス、細菌、真菌(カビ)といった目に見えない病原体によって引き起こされています。これら病原体の違いを説明すると長くなってしまいますが、下記の表の通り、細胞性か非細胞性か、そして細胞性の中でも真核生物か原核生物※かで分かれていき、その基本構造、サイズ、感染・増殖方法などが異なります。 人間に病気を引き起こす病原体の大部分はウイルスや細菌ですが、ブドウを含むほとんどの植物病害(約85%)は、真菌(カビやキノコの仲間)によって引き起こされます。私たちがよく耳にする「べと病」「うどん粉病」などは真菌による病害ですね。 注釈:真

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未来へ託すブドウ栽培を考える(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

未来へ託すブドウ栽培を考える(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

「Firadis Wine Column プロ」にて今年春よりコラムを寄稿させていただいております織田楽です。前回まではイギリスをテーマに前後編でお届けしました。この回より、ブドウ栽培、ワイン醸造、またワインビジネスをテーマに掲げ、ワインを取り巻く世界を一緒に探っていけたらと思います。このコラムが皆様にとって少しでも新しい気付きのきっかけになりましたら幸いです。 環境への配慮や持続可能性の重要性が叫ばれる今日、ブドウ栽培においても畑での取り組みを今一度考える時期に差し掛かっていると言えます。従来型農法とも呼ばれる慣行農法(conventional viticulture)は化学肥料と合成農薬の使用に頼りながらブドウ畑を管理し、安定した収量確保と労働力の削減を可能としてきました。しかし、富栄養化*や土壌汚染が懸念されるという側面が問題視されています。 *海・湖沼・河川などの水域で、水中の栄養塩(窒素化合物やリンなど)が増え、貧栄養状態から富栄養状態へと移行する現象。富栄養化が進んだ過栄養状態の水域では、赤潮や青潮などの現象を二次的に引き起こす為、富栄養化は公害や環境問題として認識さ

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フィラディス ワインリスト研究 第5弾 後編 ~ O2 大竹智也ソムリエ & L’AS 光武聡ソムリエ ~

サービス

フィラディス ワインリスト研究 第5弾 後編 ~ O2 大竹智也ソムリエ & L’AS 光武聡ソムリエ ~

現在活躍中のソムリエお二人に、同一の料理テーマでワインリストを作成いただき、構成内容や選んだ基準、考え方などをじっくり覗いてみようという人気企画「フィラディスワインリスト研究」の第5弾。今回は後編のペアリング実践編をお届けします。 前編ではお二人のソムリエが選んだワインをご紹介しましたが、今号では実際に食事とワインを合わせた検証会の様子をレポートします。タイ料理の定番メニューとの相性はもちろんですが、お料理に合わせたワイン提案に定評があるお二人が、どのようにペアリングを考えているのかといったソムリエのお仕事の裏側までお話を伺ってまいりました。 ご協力:mango tree tokyo 様 大竹智也さん O2 ソムリエ 1993年生まれ、練馬区出身。調理師専門学校卒業後、神楽坂のイタリア郷土料理店で5年勤務。フランスにてバックパッカーの経験を経て、帰国後にO2のソムリエに就任。大津シェフの個性あふれるメニューに合わせてワインをセレクトしている。 O2 https://o2otsu.wixsite.com/o2info 光武聡さん L’AS シェフソムリエ 1986年

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