コラム

【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念】ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開! 前編:「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」

コラム

【シャンパーニュのアルチザン6名来日記念】ソムリエ協会分科会で実施したパネルディスカッションの内容を公開! 前編:「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」

4月5日〜10日まで、フィラディスが正規代理店を務めるシャンパーニュのアルチザン6名が同時に来日し、東京と大阪で様々なイベントを行いました。 どの会場もご来場いただいた皆さまの熱気で非常に盛り上がり、生産者たちは心から満足した様子で帰路につきました。ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。 さて、今回の来日ではソムリエ協会に協力を仰ぎ、東京と大阪にてパネルディスカッションを行いました。前編と後編で3生産者ずつに分け、前編は「土壌とスタイルの関係性」、後編は「栽培・醸造」というテーマでそれぞれの考えを伺いました。 参加者の皆さまから、「個性が分かりやすい」「アプローチの違いに生産者の哲学やスタイルが現れていて面白い」と大変好評をいただきましたので、今号では前編「シャンパーニュにおける土壌とスタイルの関係性」の内容を公開します。 アルチザン・シャンパーニュとは かつてシャンパーニュのマーケットはメゾンの独壇場でした。時代を経て、テロワールを深く意識した小規模生産者が台頭し、より幅広い選択肢の中からシャンパーニュを楽しむことが新たなスタンダードとなりつつあります。 フィ

By Migrator Added Author
『ドローンワイン・プロジェクト』の新たな取り組みブドウ畑の「カーボン吸収力」見える化に向けたチャレンジ

コラム

『ドローンワイン・プロジェクト』の新たな取り組みブドウ畑の「カーボン吸収力」見える化に向けたチャレンジ

2020年にドローン・ジャパン株式会社とのコラボレーションにより始動した『ドローンワイン・プロジェクト』。「ドローン&AI」を活用し、“農薬や化学肥料に頼らない栽培支援技術”を発展させ、「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことを目指して活動しています。 今年より新たな取り組みを行うフェーズに入ったとの情報を得まして、ドローン・ジャパン株式会社の勝俣 喜一朗社長に再度お話を伺いました! これまでの活動成果 以前のニュースレターでもお伝えしたとおり、これまで『ドローンワイン・プロジェクト』ではワイン用ブドウ畑の①テロワールの見える化、②摘葉の自動化、③水分量の把握、④雑草の自動除草 などを目指し、当社が懇意にする南フランスのワイナリーの協力を得ながら研究を進めてきました。それにより、ブドウ畑の「地力分布」と「雑草識別」を表現する技術を開発しました。 ※詳細はこちら https://firadis.net/column_pro/202105/ 1. ドローンによる地力分布 ワイン用ブドウの樹勢の生育期ごと「形・色・大きさ」を学習、AI画像解析することで

By Migrator Added Author
全房発酵の目的とは。ワインメーカーの意図を読み解く。(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

全房発酵の目的とは。ワインメーカーの意図を読み解く。(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

今回はワイナリーでの醸造をテーマに、「全房発酵(whole bunch fermentation)」について掘り下げてみます。 全房発酵とは ピノ・ノワールの生産者を中心に、醸造手法の一つとして度々登場する全房発酵。これは全量または一部のブドウ房を除梗、破砕せずにそのまま発酵槽に入れ、発酵を進める醸造工程を指します。 全房発酵を紐解く上で押さえたいポイントは2つ。ブドウ房をそのまま使用するため、果梗(stem)と未破砕果(ホールベリー whole berry)が含まれる事です。 果梗が発酵槽に加わる事で、急激な発酵温度上昇の抑制、スパイス香成分オイゲノールのマストへの抽出、果梗による色素やアルコールの若干量の吸収、そしてタンニンの抽出(ワインメーカーによって見解に違いはあります)が行われます。 また、未破砕果による醸造での最も大きな影響は細胞内発酵(intracellular fermentation)*1です。すり潰した苺やラズベリーの香り成分エチル・シナメートの生成、更に果皮からのタンニン抽出が緩やかになる作用*2がその特徴です。これが顕著に現れているのが、マセラシオン・カ

By Migrator Added Author
世界におけるバルクワインの位置付けと日本の現状(バイヤー 山田篤典)

コラム

世界におけるバルクワインの位置付けと日本の現状(バイヤー 山田篤典)

バルクワイン概要 ①バルクワインとは バルクワイン(Bulk Wine)は読んで字のごとくBulk=大量なワインで、ボトルに入った状態ではなく液体の状態で大量に輸入されて、消費国でボトリングし販売されるワインのことを指します。 日本ではまだまだ一般的と認知はされていませんが、実は世界のワイン生産量の32%(2022年、金額ベースでは7%)を占めている重要なカテゴリーの一つです。 オランダで開催されるWBWEやアメリカで行われるIWBSSなどバルク専門の展示会も世界では開催されています。 ②バルクワインの輸入フロー ボトルワインとバルクワインでは輸入フローが大きく異なります。 ボトル輸入の場合は、既に製品化されたワインを選定し、コンテナにボトルの状態で搬入して日本に輸入、到着後販売をすることが一般的です。 一方バルク輸入の場合は、まずは原酒の選定をします。一般的にこの段階ではまだ製品化されていないため、輸入者とワイナリーで相談しながらブレンドなどを行い、最適な味わいのスタイルや価格などを決定します。その後、ワインを液体の状態でコンテナに充填し、日本に輸入します。輸入した後に、

By Migrator Added Author
ブドウ樹の病害と新しい対策について <中編>―カビ病、細菌病、ウイルス病―  (仕入れ担当 末冨 春菜)

コラム

ブドウ樹の病害と新しい対策について <中編>―カビ病、細菌病、ウイルス病― (仕入れ担当 末冨 春菜)

多くのワインメーカーが「素晴らしいワインは素晴らしいブドウから生まれる」とし、畑での作業に多くの時間を費やしています。このコラムでは全3回に分けて、畑にフォーカスし、生産者、そしてブドウ(樹)を脅かす病害とその最新の対策について見ていきたいと思います。 第1回は幹の感染症についてご紹介しました。今回はカビや細菌、ウイルスによって引き起こされる病気をご紹介します。 ①感染症を引き起こす病原体 人間、そして植物に影響を与える感染症は世界中に数多くありますが、主にウイルス、細菌、真菌(カビ)といった目に見えない病原体によって引き起こされています。これら病原体の違いを説明すると長くなってしまいますが、下記の表の通り、細胞性か非細胞性か、そして細胞性の中でも真核生物か原核生物※かで分かれていき、その基本構造、サイズ、感染・増殖方法などが異なります。 人間に病気を引き起こす病原体の大部分はウイルスや細菌ですが、ブドウを含むほとんどの植物病害(約85%)は、真菌(カビやキノコの仲間)によって引き起こされます。私たちがよく耳にする「べと病」「うどん粉病」などは真菌による病害ですね。 注釈:真

By Migrator Added Author
未来へ託すブドウ栽培を考える(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

未来へ託すブドウ栽培を考える(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

「Firadis Wine Column プロ」にて今年春よりコラムを寄稿させていただいております織田楽です。前回まではイギリスをテーマに前後編でお届けしました。この回より、ブドウ栽培、ワイン醸造、またワインビジネスをテーマに掲げ、ワインを取り巻く世界を一緒に探っていけたらと思います。このコラムが皆様にとって少しでも新しい気付きのきっかけになりましたら幸いです。 環境への配慮や持続可能性の重要性が叫ばれる今日、ブドウ栽培においても畑での取り組みを今一度考える時期に差し掛かっていると言えます。従来型農法とも呼ばれる慣行農法(conventional viticulture)は化学肥料と合成農薬の使用に頼りながらブドウ畑を管理し、安定した収量確保と労働力の削減を可能としてきました。しかし、富栄養化*や土壌汚染が懸念されるという側面が問題視されています。 *海・湖沼・河川などの水域で、水中の栄養塩(窒素化合物やリンなど)が増え、貧栄養状態から富栄養状態へと移行する現象。富栄養化が進んだ過栄養状態の水域では、赤潮や青潮などの現象を二次的に引き起こす為、富栄養化は公害や環境問題として認識さ

By Migrator Added Author
業界の中心地、ロンドンのオントレードの“今”とは?(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

コラム

業界の中心地、ロンドンのオントレードの“今”とは?(ソムリエ 織田 楽さん寄稿)

イギリスをテーマに前後編でお届けするこのコラム。前編ではワイン産地としてのイギリスを紹介いたしました。後編の今回はイギリス、その中でもロンドンに焦点を当てて、その*オントレード事情をワインの視点から探ってみます。 ワインリストの傾向、見逃せないワインビストロ、そしてワインの楽しみ方のトレンド、これらのテーマに触れながらロンドンのオントレードの今をお届けします。 *レストランやワインバーなど飲食店業種をオントレード、小売業種をオフトレードと呼ぶ ソムリエの多様さが織りなすバランス感覚 所変わればワイン変わる。ワインリストにはその国その街の特徴が随所に現れるものです。 国際化が進んだ今でも“ワイン業界の首都”と呼ばれるロンドンですが、歴史的にイギリスはボルドーやポルトとも深い関わりを持ち、古くからワインを産業として扱ってきました。自国に優良な生産地が無かったことも相まって、他国から輸入するワインをしっかりと品質で評価する文化が発達してきたのです(ワイン産出国はどうしても自国ワインを贔屓してしまいます)。イギリスで生まれたマスターオブワイン協会やWSETも、ルーツはギルド商会であり商

By Migrator Added Author
なぜワインのプロは北海道を目指すのか? Case2:Ăn Đi オーナーソムリエ/ワインテイスター 大越 基裕さん

コラム

なぜワインのプロは北海道を目指すのか? Case2:Ăn Đi オーナーソムリエ/ワインテイスター 大越 基裕さん

近年日本ワインの最前線として注目を集める北海道。ワインのプロフェッショナル達もこぞって北海道でのワイン造りに参画しています。 ワイン造りにおける北海道の優位性は何か、どんな魅力があるのかについて、彼らへのインタビューを通じて紐解いていきたいと思います。 第2回目の今回は、モダンベトナムレストラン「Ăn Đi」のオーナーソムリエであり、ワインディレクターやテイスターとして活躍される大越基裕さんにお話を伺いました。 北海道北斗市文月にて、ワイン版パーマカルチャーの確立を目指す 3つのワイナリーと農泊施設がオープン予定 現在、北海道北斗市文月に新しいワイナリーや、農業体験やその土地ならではの食を楽しむことができる農泊施設の建設が進んでいることをご存知でしょうか? ワイナリーは道南地区のワインづくりを牽引してきた「農楽蔵(ノラクラ)」に、「Due Punti(ドゥエ・プンティ)」と「トロッコワイナリー」の3つです。そして大越さんが農泊施設を手がけます。農楽蔵とDue Puntiは今秋から、トロッコワイナリーは来年秋、農泊施設は2025年の夏以降の稼働を予定しています。 北斗市

By Migrator Added Author
なぜワインのプロは北海道を目指すのか? Case1:レストラン マノワ 中村 豪志オーナーソムリエ

コラム

なぜワインのプロは北海道を目指すのか? Case1:レストラン マノワ 中村 豪志オーナーソムリエ

近年日本ワインの最前線として注目を集める北海道。ワインのプロフェッショナル達もこぞって北海道でのワイン造りに参画しています。 ワイン造りにおける北海道の優位性は何か、どんな魅力があるのかについて、彼らへのインタビューを通じて紐解いていきたいと思います。第1回目の今回は、「レストラン マノワ」オーナーソムリエの中村豪志さんにお話を伺いました。 北海道・道南地区が第二のブルゴーニュになる日を夢見て 北海道森町との出会い 中村さんのワイン造りへの挑戦はまだ始まったばかり。今年4月に北海道道南地区の森町(もりまち)に5haの畑を得て、5月にはピノ・ノワールとシャルドネの苗木を900本植樹し、ワイン用ブドウ栽培を開始しました。 日本随一のブドウとワインの産地である山梨県の出身の中村さんが、なぜ北海道の森町でワイン造りを行うことになったのか。そのきっかけを伺いました。 山梨県の山林が多い地域で生まれ育った中村さんですが、父親が日本第2位の高峰である北岳で山小屋を営むかたわら狩猟を行っていたこともあり、幼少期から手伝いをしているうちに自然とご自身もハンターとして父親の銃を受け継ぐことにな

By Migrator Added Author
日本ワインの未来を担う″ウイルスフリー化苗″とは?   山梨大学ワイン科学研究センター 鈴木俊二教授 インタビュー

コラム

日本ワインの未来を担う″ウイルスフリー化苗″とは? 山梨大学ワイン科学研究センター 鈴木俊二教授 インタビュー

ワイン用ブドウの栽培において、ウイルスや病原菌による病害は生産者を悩ませる大きなファクターの一つです。 このニュースレターでも病害について特集するなど注目してきましたが、日本のワイン研究の草分けである山梨大学ワイン科学研究センターが産学連携によって“ウイルスフリー化苗”なるものを育て販売を開始していると耳にし、同大学の鈴木俊二教授に詳しいお話を伺いました。 ウイルス病とは? ブドウ樹に害をなすウイルスは数多くあり、その種類によって実が小さくなったり糖度が上がらなかったりと様々な障害を引き起こし、最終的には健康な樹よりも早く、10年ほどで枯れてしまうことがわかっています。 ウイルスは「遺伝子とタンパク質の囲い」という単純な構造の物体であり、カビや細菌のような生物ではありません。生物であれば農薬で代謝経路を阻害して阻止することが出来ますが、ウイルスは農薬では対処できず、またブドウ樹には免疫機能がないため、一度かかってしまうと枯れるのを待つか切るかしかありません。(厳密には人のウイルス感染のように対処薬を作ることは可能ですが、高額なので現実的ではなく行われていません。) 物体なの

By Migrator Added Author
『シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト』 ークラマン村 自社畑の近況ー

コラム

『シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト』 ークラマン村 自社畑の近況ー

私どもフィラディスは、2021年5月にシャンパーニュのグランクリュ、クラマン村に合計0.25ヘクタールの畑を購入し、同年夏より 『シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト』 を始動させました。クラマン村という素晴らしい産地で、日本人による日本人の味覚に合った理想のシャンパンを生み出そうという挑戦的で心踊るプロジェクトです。 当初は畑づくりに最低でも3年かかると踏んでいましたが、比較的畑とブドウの木の状態が良かったため、ブドウの収穫もしながら畑の改善に努めています。2021年と2022年のヴィンテージや現状の畑の状況について、ご報告させていただきます。 2021年ヴィンテージ 2021年はシャンパーニュ地方のほとんどの地域にとって非常に困難な年でした。 春先の霜、開花時期の大雨、ミルランダージュ(結実不良)などが至るところで発生した上に、ベト病や雹の被害も甚大で、多くのワイン生産者にとって絶望的な年となりました。 フィラディスの畑は、グランクリュの中でも最も石灰質の多いクラマン村に位置しており、2021年はそのポテンシャルと優位性が明らかになりました。チョークが水分を吸収

By Migrator Added Author
ブドウ樹の病害と新しい対策について <前編>  -幹の感染症- (仕入れ担当 末冨春菜)

コラム

ブドウ樹の病害と新しい対策について <前編>  -幹の感染症- (仕入れ担当 末冨春菜)

多くのワインメーカーが「素晴らしいワインは素晴らしいブドウから生まれる」とし、畑での作業に多くの時間を費やしています。畑仕事の中で特に重要なのがブドウ樹の病害への対処です。生育期のあらゆる場面で病害が発生する可能性があるため、生産者たちは気を抜くことはできません。 こうしたブドウを脅かす病害と最新の対策について、全2回のコラムに分けてご紹介したいと思います。前編のテーマは幹の感染症です。後編では幹以外の病害について解説する予定です。 幹の感染症とは? 生産者と話をしていると「Grapevine Trunk Disease (グレイプヴァイン・トランク・ディジーズ=トランク病 / GTD)」という言葉をよく耳にします。これは幹が影響を受ける感染症の総称で、近年世界中のブドウ畑を最も脅かしている病気と言っても過言ではありません。 ブドウ房や葉だけでなく、高確率でブドウ樹自体を死に至らしめる深刻な病気であり、大幅な収量減や枯死による植え替えなどで発生する損失は、世界で年間15億ドル(日本円にして約2300億円)にも及ぶといいます。 この病気による被害をさらに数字で見ていきましょう

By Migrator Added Author